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特発性間質性肺炎:指定難病と重症度分類
特発性間質性肺炎には、特発性肺線維症や非特異性間質性肺炎などが含まれますが、これら特発性間質性肺炎は指定難病(指定難病85)であり、重症度分類が定められています。 重症度分類はⅠからⅣの4段階で構成され、 安静時の動脈血液ガス検査の酸素濃度(安... -
新型コロナウイルス感染後の再感染に対する予防効果
デンマークから新型コロナウイルス再感染予防効果の報告です。 SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)感染後、新たにどの程度の方が新型コロナウイルスに再感染するかは不明です。 実はデンマークでは、無料で大規模なPCR検査を行っており、約400万人(人口の... -
【保存版】間質性肺炎で調べる血液検査:KL-6
間質性肺炎の血液検査のうち、日本ではKL-6(Krebs von den Lungen-6)が普及しています。 もともとは肺癌細胞に反応する抗体の一つとして抗KL-6抗体が作製されました。 その抗体が検出するKL-6が、実は健常人よりも間質性肺炎患者において異常高値を示す... -
間質性肺炎のブログ始めました
「間質性肺炎ってなんですか?」 よくこんな質問をいただきます。 ネットで「間質性肺炎」と検索しても難しい言葉やばかりで、「難病」、「予後は3年」など怖い言葉も一緒に検索されてしまいます。 簡単に大量の情報を得ることができる反面、なかなか正確...
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【まとめ】6分間歩行試験と間質性肺炎
6分間歩行試験は、間質性肺炎でも特に重要な検査の一つです。 6分間歩行試験とは、文字通り6分間歩いていただき、その歩行距離と酸素の状態を調べる検査です。患者さんには6分間にできるだけ長い距離を歩いていただきます。30mぐらいの平坦な道で検査を行... -
高齢者に対するニンテダニブの使用に関する注意
特発性肺線維症、進行性の間質性肺炎、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患の治療薬の一つにニンテダニブ(商品名:オフェブ)がありますが、実は高齢者に関しての副作用のデータは不足しています。 ニンテダニブに関しては以下の記事もご覧ください。 一般的... -
シェーグレン症候群に伴う間質性肺炎は指定難病で重症に分類
シェーグレン症候群は指定難病の一つであり、その診断基準は日本では1999年の厚生省研究班の改定診断基準が用いられています。 重症度はESSDAIを用いて判定し、5点以上で重症と判断します。 ESSDAIでは、肺病変があると×5倍の点数(重み(係数)は5)とな... -
シェーグレン症候群の疾患活動性指標
シェーグレン症候群の疾患活動性には、 ESSDAI ESSPRI があります。特にこのESSDAIは指定難病の重症度の判定にも用いられていますので、大変重要な指標です。 ESSDAI ESSDAIは、EULAR Sjogren Syndrome Disease Activity Indixの略語であり、 健康状態 リ... -
特発性間質性肺炎の診断と重症度分類の改訂(2024年4月)
特発性間質性肺炎は指定難病(指定難病85)の一つに登録されていますが、2024年4月からこの診断と重症度分類が変更されることとなりました。(参考:日本呼吸器学会ホームページhttps://www.jrs.or.jp/information/jrs/20240308101401.html) 要点は、以下... -
間質性肺炎のガイドライン(2022年最新版)
間質性肺炎に関する最新のガイドラインが発表されました。 Idiopathic Pulmonary Fibrosis (an Update) and Progressive Pulmonary Fibrosis in Adults: An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline - PubMed (nih.gov) 2022年5月に間質性... -
IPFの意義あるエンドポイント(Am J Respir Crit Care Med. 2024)
論文のタイトル: Meaningful Endpoints for Idiopathic Pulmonary Fibrosis (IPF) Clinical Trials: Emphasis on 'Feels, Functions, Survives'著者: Ganesh Raghu, et al出版年: 2024ジャーナル: American Journal of Respiratory and Critical Care Medi... -
IPFにおける在宅酸素療法後の予後と予後因子(Scientific Reports. 2023)
論文のタイトル: Cohort study to evaluate prognostic factors in idiopathic pulmonary fibrosis patients introduced to oxygen therapy著者: Kensuke Kataoka et al.出版年: 2023ジャーナル: Scientific ReportsPMID: 37608014 IPF患者における酸素療... -
強皮症に対するリツキシマブの文献レビュー(Mod Rheumatol. 2023)
論文のタイトル: Role of rituximab in the treatment of systemic sclerosis: A literature review著者: Hajime Yoshifuji, et al出版年: 2023ジャーナル: Modern RheumatologyPMID: 37053127 全身性強皮症に対するリツキシマブの文献レビューが報告され... -
IPF診断の遅れの要因(Respir Res. 2019)
論文のタイトル: Risk factors for diagnostic delay in idiopathic pulmonary fibrosis著者: Nils Hoyer, et al出版年: 2019ジャーナル: Respiratory ResearchPMID: 31126287 特発性肺線維症(IPF)の診断に遅れは約2.1年、原因として、男性、高齢、およ...
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PPFEのレビュー(J Clin Med Res 2024.)
2024年度から特発性間質性肺疾患の難病制度が改訂となりました。 ★難病制度の改定に関しては、詳しくは以下の記事をご覧ください。 今回の改定で重要な点の一つとして、特発性胸膜肺実質線維弾性症(特発性上葉優位型肺線維症、iPPFE)が新たに認定が可能... -
【まとめ】抗ARS抗体陽性の間質性肺炎
筋炎関連の間質性肺炎は、その筋炎特異的自己抗体に応じた病態を考えることが重要です。 特に抗ARS抗体は急性、慢性の両方の経過をたどり、初期治療対応や経過中の再燃が問題となる一群です。 抗ARS抗体の種類 8種類の抗ARS抗体 現在、抗ARS抗体には、抗Jo... -
【まとめ】抗MDA5抗体陽性の間質性肺炎
筋炎関連の間質性肺炎は、その筋炎特異的自己抗体に応じた病態を考えることが重要です。 特に抗MDA5抗体は急性の経過をたどり、極めて予後不良な一群であることがわかっています。 抗MDA5抗体陽性の発症:水辺、10月~3月が要注意 筋炎関連の間質性肺疾患... -
間質性肺炎と家族歴
間質性肺炎において、「間質性肺炎の家族歴がある」というのは非常に重要な情報です。家族歴がある間質性肺炎の場合、画像的な特徴があったり、予後が不良であったり、一つの重要な要素と考えられています。 このページでは間質性肺炎の家族歴に関して、既... -
間質性肺炎の咳重症度と予後(Am J Respir Crit Care Med. 2024)
論文のタイトル: Epidemiology and Prognostic Significance of Cough in Fibrotic Interstitial Lung Disease著者: Yet H Khor, et al出版年: 2024ジャーナル: Am J Respir Crit Care MedPMID: 38536110 特発性肺線維症は咳症状が強いこと、間質性肺炎に... -
IPFの咳に対する低用量モルヒネ内服 pahse2(Lancet Respir Med. 2024)
論文のタイトル: Morphine for treatment of cough in idiopathic pulmonary fibrosis (PACIFY COUGH): a prospective, multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, two-way crossover trial著者: Zhe Wu, et al出版年: 2024ジャーナル: ... -
膠原病ILDの画像パターンと臨床経過(Rheumatology (Oxford). 2024)
論文のタイトル: Lung imaging patterns in connective tissue disease-associated interstitial lung disease impact prognosis and immunosuppression response著者: Boyang Zheng出版年: 2024ジャーナル: Rheumatology (Oxford)PMID: 38336872 膠原病に... -
オフェブ投与後の体重減少と予後(Respir Investig. 2024)
論文のタイトル: Body weight loss is a simple and useful indicator of prognosis and predictive tolerability in the first year of nintedanib therapy in patients with interstitial lung disease著者: Hideaki Yamakawa出版年: 2024ジャーナル: Re... -
IPFとサルコペニア(Chron Respir Dis . 2022)
論文のタイトル: Frequency and impact on clinical outcomes of sarcopenia in patients with idiopathic pulmonary fibrosis著者: Kohei Fujita, et al出版年: 2022ジャーナル: Chronic Respiratory DiseasePMID: 35930440 サルコペニアに関する知見は多... -
間質性肺炎におけるフレイル評価と予後予測(Chest. 2024)
論文のタイトル: The Clinical Frailty Scale for Risk Stratification in Patients With Fibrotic Interstitial Lung Disease著者: Sabina A Guler, et al出版年: 2024ジャーナル: ChestPMID: 38423280 間質性肺炎において、フレイルは重要な予後因子の一...
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IPFとサルコイドーシス(Resp Med. 2019)
間質性肺炎の代表的な疾患である特発性肺線維症(IPF)とサルコイドーシスの関連は実はまだよくわかっていません。 日本では指定難病に登録されている両疾患ですが、背景に肺の線維化がある場合、IPFとサルコイドーシスの合併なのか、サルコイドーシス単独... -
FHPの線維芽細胞巣は予後不良な所見(ERJ Open Res. 2024)
論文のタイトル: Prognostic factors of progressive fibrotic hypersensitivity pneumonitis: a large, retrospective, multicentre, observational cohort study著者: Esteban Cano-Jiménez出版年: 2024ジャーナル: ERJ Open ResPMID: 38410707 スペイン... -
血漿プロテオミクスを用いた機械学習(Am J Respir Crit Care Med. 2024)
論文のタイトル: Machine Learning of Plasma Proteomics Classifies Diagnosis of Interstitial Lung Disease著者: Yong Huang, et al出版年: 2024ジャーナル: American Journal of Respiratory and Critical Care MedicinePMID: 38422478 機械学習と血漿... -
間質性肺炎における肺血管抵抗と予後(Thorax. 2024)
論文のタイトル: Mild elevation of pulmonary vascular resistance predicts mortality regardless of mean pulmonary artery pressure in mild interstitial lung disease著者: Tomonori Sato, et al出版年: 2024ジャーナル: ThoraxPMID: 38316550 間質... -
RAにおけるILD検出の臨床的・遺伝的リスクスコア(Rheumatology (Oxford). 2024)
論文のタイトル: Development and Internal Validation of a Clinical and Genetic Risk Score for Rheumatoid Arthritis-Associated Interstitial Lung Disease著者: Austin M Wheeler, et al出版年: 2024ジャーナル: Rheumatology (Oxford)PMID: 3824370... -
抗MDA5抗体の認識部位の違いによる臨床所見の違い(Rheumatology (Oxford). 2023)
論文のタイトル: Correlation between B cell epitope profile and clinical features of anti-MDA5 antibody-positive dermatomyositis著者: Koichi Yamaguchi, et al出版年: 2023ジャーナル: Rheumatology (Oxford)PMID: 37815819 MDA5抗体の認識部位の... -
間質性肺疾患における機械学習を用いた画像AI(2023総説)
間質性肺疾患の世界でも、放射線科の先生方の画像診断は大変重要です。さらに、近年では、機械学習を用いた画像解析AIの開発が進んでいます。 現在、間質性肺疾患では、疾患の早期発見、ベースラインデータを用いた正確な予後予測、治療反応性を正確かつ的... -
肺組織パターン:AFOP(2002年の報告)
重要な肺組織パターンであるAFOP(acute fibrinous and organizing pneumonia)に関する2002年の報告です。 Beasley MB, Franks TJ, Galvin JR, Gochuico B, Travis WD. Acute fibrinous and organizing pneumonia: a histological pattern of lung injury... -
メソトレキセート関連の肺障害のリンパ球動態(2006年)
関節リウマチの治療中に新たな肺の影が出現することは経験します。 その際の鑑別疾患としては、細菌性肺炎やウイルス性肺炎、間質性肺炎など多岐にわたりますが、特に、関節リウマチで重要な治療薬であるメソトレキセートを使用している場合、肺の影がメソ... -
強皮症に対するトファシチニブと皮膚遺伝子発現(第Ⅰ/Ⅱ相)
全身性強皮症に対するトファシチニブ(JAK阻害薬)の第Ⅰ/Ⅱ相試験の結果が報告されました。 Khanna D, et al. Tofacitinib blocks IFN-regulated biomarker genes in skin fibroblasts and keratinocytes in a systemic sclerosis trial. JCI Insight 2022;...
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2024年「肺の日・呼吸の日」のご案内
愛知県で「肺の日・呼吸の日」として間質性肺炎に関する市民公開講座が開催されます(主催:日本呼吸器学会東海支部)。 間質性肺炎やCOPD、リハビリ、肺移植、そしてワクチンについてなど大変充実した内容です。 事前参加登録が必要となりますので、ぜひ... -
書籍紹介 臨床雑誌内科2024年4月増大号(Vol.133 No.4):患者さんからよく尋ねられる内科診療のQuestion
書籍紹介 南江堂から臨床雑誌内科の増刊号が発刊されました。 臨床雑誌内科2024年4月増大号(Vol.133 No.4):患者さんからよく尋ねられる内科診療のQuestion 臨床を行う上で素朴な疑問に、各領域のエキスパートの先生方がQ&A形式で回答されています。... -
書籍紹介 症例から学ぶ『過敏性肺炎診療指針』の使い方
書籍紹介 2022年に呼吸器学会から発刊された「過敏性肺炎診療指針」は、新たな診断基準や分類、疾患の管理・治療に関してまとめられた一冊です。 しかし、過敏性肺炎の診療は難しく、臨床現場では悩むことも多いのが実際です。 本書は、具体的な症例を用い... -
特発性間質性肺炎の診断と重症度分類の改訂(2024年4月)
特発性間質性肺炎は指定難病(指定難病85)の一つに登録されていますが、2024年4月からこの診断と重症度分類が変更されることとなりました。(参考:日本呼吸器学会ホームページhttps://www.jrs.or.jp/information/jrs/20240308101401.html) 要点は、以下... -
第3回 間質性肺炎/肺線維症患者会 中部支部 のご案内
★本患者会は終了しました。 間質性肺炎/肺線維症患者会 中部支部についてのご案内は以下のリンクからご覧ください。 --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------... -
2019年、特発性間質性肺炎が指定難病の呼吸器系疾患で第1位になりました
日本における特発性間質性肺炎の特定医療費(指定難病)受給者証所持者数は約1.8万人と報告されています。(現在取得可能な2020年時点のデータ、特定医療費(指定難病)受給者証所持者数 – 難病情報センターより引用) 特発性間質性肺炎の受給者証所持者は... -
おすすめ書籍一覧
ここでは、おすすめの書籍をまとめて掲載しています。 どの書籍も良書ですので、気になったらぜひ読んでみてください。 間質性肺炎の臨床、画像、病理 みんなの呼吸器 Respica2022年4号 (20巻4号)posted with ヨメレバ メディカ出版 2022年07月11日頃 楽天... -
ガイドライン、重症度分類、診断基準の覚え書き
ここでは間質性肺炎で使用する各種ガイドラインや重症度分類、診断基準などを、覚え書きとしてまとめています。 覚えるには大変だけど、困ったらここを開けば一目でわかるようなページを目指します。 質問票 修正MRC息切れスケール質問票(mMRC) Gr0:激... -
【保存版】間質性肺炎ってどんな病気?
この記事では、間質性肺炎についての基本的な情報をまとめまています。 とても難しい病気ではありますが、なるべくわかりやすく説明しますので、ぜひご覧ください。ちょっと長いですが、下のもくじから少しずつご覧いただけましたら嬉しく思います。 間質... -
サイトマップ
いつもお読みいただきありがとうございます。 2021年4月からこの「呼吸器専門医の間質性肺炎ブログ」をはじめ、皆様に支えられてなんと1年が経ちました。誠に有難うございます。 少し内容が難しい時もあるかもしれませんが、なるべくわかりやすく、これか...