AAVにおける肺胞出血の治療効果と患者の特徴に関する国際的なランダム化比較試験(Am J Respir Crit Care Med. 2024)

論文のタイトル: Alveolar Hemorrhage in ANCA-associated Vasculitis: Results of an International, Randomized, Controlled Trial (PEXIVAS)
著者: Lynn A Fussner, et al
出版年: 2024
ジャーナル: American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine
PMID: 38346237

ANCA関連血管炎に対するRCTの結果から、肺胞出血の有無での患者背景や治療経過に関する特徴が報告されました。

概要
肺胞出血(DAH)は、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎(AAV)の生命を脅かす症状である。最大規模のAAV試験である血漿交換(PLEX)とグルココルチコイド(GC)を用いた重症AAV治療(PEXIVAS試験)は、機械換気が必要なDAH患者を含む初の試験であった。
目的:AAV患者のDAHの特徴、治療効果、結果を解析する。
方法:PEXIVASでは、704人の参加者をPLEXまたはno-PLEX、減量または標準用量GCにランダムに割り当てた。DAHの状態は登録時にno-DAH、非重症、または重症(室内空気SpO2≤85%または機械換気の使用)と定義された。

肺胞出血の定義(抜粋)
両側肺浸潤かつ以下のいずれか一つ
(1)気管支内視鏡検査でDAHもしくはBALで出血の増加、(2)喀血、(3)原因不明の貧血(Hb10g/dL未満)、または10g/dl未満からのHb低下(1g/dL以上)、(4)二酸化炭素拡散能の増加

測定と主な結果:登録時、191人(27.1%)の参加者がDAH(うち61人が重症、29人が機械換気)で、DAHがない参加者(n=513,72.9%)に比べて若年層が多く、再発頻度が高く、PR3-ANCA陽性で、血清クレアチニン値は低いが、透析を受けていることが多かった。DAH患者のうち、PLEXを受けた95人中8人(8.4%)が1年以内に死亡したのに対し、no-PLEXの96人中15人(15.6%)が死亡(HR 0.52,CI 0.21-1.24)した。また、減量GCを受けた96人中13人(13.5%)が死亡したのに対し、標準GCを受けた95人中10人(10.5%)が死亡(HR 1.33,CI 0.57-3.13)した。
人工呼吸器を使用している場合、人工呼吸器なしの日数はPLEXとno-PLEXで同様(中央値25、IQR 22-26対22-27)、減量GC(23[20-25])は標準GC(26[25-28])に比べて少なかった。
死亡率への治療効果はDAHの有無や重症度によって変わらなかった。全体として、DAHのある191人中23人(12.0%)が1年以内に死亡したのに対し、DAHのない513人中34人(6.6%)が死亡した。末期腎疾患や重篤な感染症は、DAHの状態や治療によって差はなかった。
結論:AAVとDAHの患者はDAHのない患者と複数の点で異なる。PLEXまたはGCの用量による死亡率への影響について、さらなるデータが必要である。

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