関節リウマチの気道病変(1998年の報告)

関節リウマチ患者において、肺病変は大きく間質性肺疾患と気道病変に分類されます。1998年の報告ですが、関節リウマチ患者の気道病変を肺機能検査と胸部CT検査で評価した研究結果が報告されています。

Perez T, Remy-Jardin M, Cortet B. Airways involvement in rheumatoid arthritis: clinical, functional, and HRCT findings. Am J Respir Crit Care Med 1998;157:1658–1665.

関節リウマチの気道病変は、比較的多くの患者さんで認め、リウマチ関連のデータとは関連がなかったようです。

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

方法

研究の目的:間質性肺疾患を伴わない関節リウマチ(RA)患者における気道病変の有病率と特徴を評価すること。

胸部レントゲン写真でRA関連の肺変化を示す所見がないRA患者50名(男性9名、女性41名、平均年齢57.8歳、非喫煙者39名と喫煙者11名(平均喫煙量15.3pack-year))を対象に、高解像度コンピュータ断層撮影(HRCT)と肺機能検査で前向きに評価した。

結果

肺機能検査では、9人(18%)でairway obstruction(FEV1/VCの低下)、4人(8%)でsmall airway disease(FEF(25-75)の低下、予測値を1.64 residualSD以上と定義、および/またはsingle breath nitrogen washoutによる第3相勾配の2SD以上の増加)が示された。

HRCT は 35 例(70%)の気管支および/または肺の異常所見を認め、それらはair trapping(n = 16; 32%)、cylindral bronchiectasis(n = 15; 30%)、mild heterogeneity in lung attenuation(n = 10; 20%)、centrilobular areas of high attenuation(n = 3; 6%)であった。
airway obstructionとsmall airway diseaseは、気管支拡張症および気管支壁肥厚の存在(p=0.003)および気管支感染(p=0.01)と相関していたが、リウマチ関連のデータとは無関係であった。

HRCTで気道に変化を認めた患者では、FEF(25-75) が低下し、第 III 相の傾きが大きくなったが、HRCT スキャンが正常だった 15 例中13 例では肺機能検査に異常は認められなかった。
HRCTでは、肺機能検査が正常であった 33例中20例でsmall airway diseaseの特徴を認めた。

まとめ

HRCT所見は、リウマチ関連のデータとは無関係であった。HRCTおよび/または肺機能検査で評価される気道病変の高い有病率が、今回のRA患者の集団で観察された。HRCT はsmall airway diseaseの検出において肺機能検査よりも感度が高いようであった。

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