人工呼吸器管理を必要とする肺移植患者に対するクライオバイオプシー(2023年)

ICUで人工呼吸器を必要とする重篤な肺移植患者に対して、肺の検査をするための新しい技術であるクライバイオプシー(Transbronchial lung cryobiopsy)を用いた検査方法を比較した研究結果が報告されました。

Loor K, Culebras M, Sansano I, Álvarez A, Sacanell J, García-de-Acilu M, Berastegui C, Polverino E, Clofent D, de Gracia J. Lung allograft transbronchial cryobiopsy for critical ventilated patients: a randomised trial. Eur Respir J (2023) 61: doi: 10.1183/13993003.02354-2021

鉗子、1.9mmのcryoprobe、2.4mmのcryoprobeの3つの方法を用い、肺組織の取得量、取得された肺組織の品質、安全性を比較しました。2.4mmのcryoprobeを使用した場合、他の2つの方法よりも良質な肺組織を取得することができ、肺の病気の診断にも最も適していることが示されました。また、安全性についても問題がないことが確認されました。

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景
クライオバイオプシーは、肺拒絶反応を診断するための新たな手法である。しかし,集中治療室(ICU)で人工呼吸を必要とする重症の肺移植患者を対象としたプロスペクティブ研究は行われていない。

方法
2017年3月から2020年1月にかけて、生検鉗子、1.9mmクライオプローブ、2.4mmクライオプローブを用いた経気管支肺生検の診断率、組織学的質、安全性を評価する前向き無作為化比較試験を実施した。
対象:ICUに人工呼吸管理されており、急性拒絶反応が疑われる急性肺障害により気管支鏡下肺生検が適応となった片肺移植、両肺移植の全患者。

結果
連続した経気管支生検129例のうち89例(鉗子群28例、1.9mmクライオプローブ群31例、2.4mmクライオプローブ群30例)が無作為化された。
鉗子群および1.9mmクライオプローブ群の肺サンプルと比較して、2.4mmクライオプローブ群の肺サンプルは、最も確定診断が可能であり(それぞれp<0.01およびp=0.02)、急性肺拒絶反応の診断が最も多く(それぞれp<0.01およびp<0.01)、拒絶反応の重症度の診断も最も多かった(それぞれp<0.01およびp<0.01)。
これらのサンプルは、より大きく(それぞれp<0.01およびp=0.04)、最も十分な肺胞組織を持ち(それぞれp<0.01およびp=0.02)、処置ごとの血管の数が多く(それぞれp<0.01およびp=0.01)、著しい挫滅はなかった。
中等度の出血は23%の症例で観察された(それぞれp=0.01、p=0.08)。重度の出血は観察されなかった。

結論
2.4mmクライオプローブを用いた経気管支肺生検は、ICUで人工呼吸を必要とする重症肺移植患者から安全に肺組織サンプルを採取でき、診断性能も良好である。

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