TBLCとSLBの一致率(AJRCCM2023 カナダ)

経気管支凍結肺生検(クライオバイオプシー)は、気管支鏡で肺を凍結させて生検する検査方法です。2022年の最新の国際ガイドラインでもこのクライオバイオプシーの有用性に言及があります。
しかし、外科的肺生検との一致率を検討した前向き研究はこれまでに3編しか報告がなく、その結果は研究によって様々です。

今回、このクライオバイオプシー(TBCB)と外科的肺生検(SLB)の診断一致率を評価した多施設共同前向き医師主導治験の結果がカナダから報告されました。

Fortin M, Liberman M, Delage A, Dion G, Martel S, Rolland F, et al. Transbronchial Lung Cryobiopsy and Surgical Lung Biopsy: A Prospective Multi-Centre Agreement Clinical Trial (CAN-ICE). Am J Respir Crit Care Med 2023;207:1612–1619.

間質性肺炎に対するクライオバイオプシーと外科的肺生検の診断一致率は中等度でしたが、施設間の一致率は外科的肺生検に比してクライオバイオプシーは低い結果でした。

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

ILD診断のためのTBCBは有望な結果を示しているが、SLBとの前向き研究では矛盾する結果が得られている。

目的:ILD患者において、TBCBとSLBの病理組織学的およびMDD診断での施設内および施設間の診断の一致を評価すること。

方法

多施設共同前向き研究において、SLBを希望する患者を対象に、TBCBとSLBをマッチングして実施した。
3名の肺病理医による盲検レビューの後、全例が3名の独立したILDチームによるMDDでレビューされた。
MDDは、まずTBCBで行い、2回目にSLBで行った。施設内および施設間の診断の一致は、パーセンテージと相関係数を用いて評価した。

結果

20名の患者を対象に、TBCBとSLBを同時に実施した。
TBCB-MDDとSLB-MDDの施設内診断の一致は、60対の観察結果のうち37対(61.7%)で達成され、Cohenのκ値は0.46(95%信頼区間[CI]、0.29-0.63)であった。

診断の一致は、TBCB-MDDで高信頼度または確定診断の症例(29例中21例[72.4%])で増加したが、有意ではなかった。また、SLB-MDDでFHPよりもIPFと診断された症例でより高かった(16例中13例[81.2%] vs 31例中16例[51.6%];P = 0.047 )。

症例の施設間一致率は、SLB-MDD(κ = 0.71 [95% CI, 0.52-0.89] )がTBCB-MDD(κ = 0.29 [95% CI, 0.09-0.49] )より顕著に高かった。

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