肺胞蛋白症はサーファクタントの生成又は分解過程障害により、肺胞腔内にサーファクタント由来物質である好酸性の顆粒状の蛋白様物質が異常に貯留する疾患であり、日本の指定難病に登録されています。今回、この肺胞蛋白症の日本の疫学データが報告されました。
日本の指定難病データベースに登録された肺胞蛋白症の疫学データが報告されました。3分の2が重症度3以上の方で、4分の1が酸素療法や全肺洗浄を施行されているようです。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)および先天性・遺伝性PAPは、2015年に日本国内において難病の指定を受けた。それ以降、全国指定難病データベース(NDDID)に登録された患者のうち、一定の要件を満たした患者が医療費助成の対象となった。PAP患者の管理プロトコルの開発には、最近のデータを用いた疫学研究が必要である。
方法
2015年から2020年にかけて日本のNDDIDに登録された患者のデータを用いて、PAPの疫学と特徴を記述する初の全国的な研究を実施した。
患者のデモグラフィック、診断、疾患重症度スコア(DSS)、症状、検査結果、治療法に焦点を当てた。
結果
PAP患者110名を確認し、そのうち96.4%がAPAP/特発性PAP(IPAP)であった。
年齢中央値は58歳で、やや男性優位であった。
ほとんどの患者はDSSが3以上(64.5%)で、症状(例:労作時呼吸困難)を認めた。
胸部HRCTでは、一般に、すりガラス影とcrazy pavingの所見を認めた。
肺機能は、DLCOを除き、比較的保たれていた。
治療的全肺洗浄および/または気管支肺胞洗浄を受けた患者は27.4%のみで、25%は長期の酸素療法を必要とした。
血清中のKL-6、SP-D、LDHの値はDSSと有意かつ正の相関があった。
結論
NDDIDに登録された患者の多くは、DSS≧3のAPAP/IPAPであり、約4分の1は長期の酸素療法と肺胞洗浄を必要としていた。この結果は、日本におけるDSS 3以上のAPAP/IPAPの有病率と臨床実践に関する重要な詳細を提供するものである。