【まとめ】6分間歩行試験と間質性肺炎

6分間歩行試験は、間質性肺炎でも特に重要な検査の一つです。

6分間歩行試験とは、文字通り6分間歩いていただき、その歩行距離と酸素の状態を調べる検査です。
患者さんには6分間にできるだけ長い距離を歩いていただきます。30mぐらいの平坦な道で検査を行い、その道を行ったり来たり、何往復もしていただきます。歩くスピードは、やや早歩きで、ちょっと息が弾むぐらいなイメージです。

この検査は時間がかかり場所の準備や患者負担も多い検査ですが、
■日常生活においてどの程度運動能力が障害されているのか
■間質性肺炎の重症度はどの程度か
■薬の効果判定
■酸素療法が必要かどうか
■すでに酸素吸入されている方はその酸素吸入量が適切かどうか
などの指標として用いられるとても大切な検査です。

6分間歩行試験で得られた歩行距離を10倍すると時速(km/hr)になることもポイントです。

目次

健常人の6分間歩行試験の歩行距離

健常人の6分間歩行試験は、およそ630mほどが平均と報告されています。歩行距離の予測は予測式が種々ありますが、おおよそ年齢、身長、体重、性別の4つが予測式に組み込まれています。

高齢者(50-85歳)

■6分間歩行試験の歩行距離は平均631m±93m
■男性は84m長い
■平均歩行距離は1回目と2回目の差は8±5%(p<0.001)だが、SpO2は2回の試験で差はなし

引用文献:Troosters T, Gosselink R, Decramer M. Eur Respir J 1999;14:270–4.

若年者(18-50歳)

■6分間歩行試験の歩行距離は平均636m±88m
■平均歩行距離は1回目と2回目との差は有意差なし(p=0.436)
■しかし個人間の変化は32.5±31.9m

引用文献:Halliday SJ, et al. Respir Med 2020;165:105933.

歩行距離と予後の関連

特発性肺線維症(IPF)では、歩行距離が350m以上と比較して、250mから350m未満は予後不良(HR 1.54)、さらに250mだとさらに予後不良(HR 2.65)といわれています。
また、24週後の歩行距離の低下が25m未満と比較して、25mから50m以下は予後不良(HR 3.59)、さらに50mよりも歩行距離が低下するとさらに予後不良(HR 4.27)といわれています。

引用文献:du Bois RM, et al. Am J Respir Crit Care Med 2011;183:1231–7.

IPF以外の間質性肺疾患において、1年後の6分間歩行試験で、歩行距離が前年より24m低下していると予後不良であることが示唆されました。

引用文献:Zanini U, et al. Respirology 2024.

肺機能やCTだけでなく、経年的な6分間歩行距離の測定も重要です。

6分間歩行試験での低酸素

6分間歩行試験では、試験の最後にパルスオキシメーターでSpO2を測定します。

特発性肺線維症(IPF)では他の間質性肺疾患と比較して、6分間歩行試験の低酸素の程度が強いことが報告されています。

引用文献:Otake K, et al. Phys Ther Res 2023;26:32–7.

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