論文のタイトル: Mild elevation of pulmonary vascular resistance predicts mortality regardless of mean pulmonary artery pressure in mild interstitial lung disease
著者: Tomonori Sato, et al
出版年: 2024
ジャーナル: Thorax
PMID: 38316550
間質性肺炎において、肺血管抵抗>2WUを示す場合、MPAP上昇がなくても、予後不良な可能性があることが報告されました。大変重要な報告です。
概要
背景: 肺高血圧(PH)は肺動脈平均圧(MPAP)の上昇によって定義され、肺血管抵抗(PVR)の上昇は肺血管の異常を反映する。様々な間質性肺疾患(ILD)患者における非重症PHの臨床的意義は十分に解明されていない。本研究では、新規診断されたILD患者におけるMPAPとPVRの死亡率に対する臨床的意義を調査した。
方法: 2007年から2018年までの初回評価に右心カテーテル検査を含むILD患者を連続して後ろ向きに分析した。これらの患者は、2022年の欧州心臓学会(ESC)/欧州呼吸器学会(ERS)のPHガイドラインを用いてMPAPとPVRで分類された。MPAPとPVRの死亡率に対する臨床的意義を分析した。
結果: 854名の患者のうち167名(19.6%)がMPAP>20 mm Hgであった。
MPAP≤20 mm Hg、20<MPAP<25 mm Hg、および≥25 mm Hgの患者におけるPVR>2 Wood units(WU)の割合はそれぞれ26.2%、60.4%、および86.4%であった。ILD-性別、年齢、生理検査指数で調整したコックス比例ハザード分析では、PVRがMPAPよりも死亡率が高いことと関連していた(HR 1.37、95%CI 1.23から1.52、p<0.0001;HR 0.98、95%CI 0.96から1.01、p=0.1671)。
MPAP≤20 mm Hgの群においても、PVR>2 WUは予後不良と関連があった (HR 1.61, 95% CI 1.28 to 2.02, p<0.0001)。
結論: 新規診断されたILD患者において、PVRの軽度上昇は、MPAP≤20 mm Hgであっても死亡率が高まることと関連していた。