間質性肺炎の治療の一つに抗線維化薬がありますが、現在はニンテダニブ、ピルフェニドンの2種類が使用されています。
今回、この抗線維化薬に関するシステマティックレビュー、メタアナリシスが報告されました。
Finnerty JP, et al. Efficacy of antifibrotic drugs, nintedanib and pirfenidone, in treatment of progressive pulmonary fibrosis in both idiopathic pulmonary fibrosis (IPF) and non-IPF: a systematic review and meta-analysis. BMC Pulm Med 2021;21:411.
間質性肺炎における抗線維化薬の疾患進行抑制効果がシステマティックレビュー&メタアナリシスで示されました。
また、全体の解析では死亡率の低下を認めたものの、特発性肺線維症以外の進行性線維化を伴う間質性肺炎に限れば有意性は示されなかったようです。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
研究課題
進行性肺線維症の治療におけるニンテダニブとピルフェニドンの有効性を比較すること、および特発性肺線維症(IPF)患者とIPF以外の進行性肺線維症患者における抗線維化療法(ニンテダニブとピルフェニドン)の有効性を比較すること。
研究のデザインと方法
MEDLINE、EMBASE、PubMed、clinicaltrials.govを含むデータベースの検索を実施した。
成人IPF患者または非IPF患者を対象としたピルフェニドンまたはニンテダニブの無作為化対照試験で、死亡率または努力肺活量(FVC)の低下に関するデータを抽出できる研究を対象とした。
選択した試験について、FVCの変化、可能であれば死亡率についてランダム効果メタ解析を実施した。
結果
抗線維化療法に関する13の試験がメタ解析でプールされた(pirfenidoneとnintedanibは抗線維化療法として一緒に考慮されている)。FVCの変化は標準化差で表し、変化率と絶対値のプーリングを可能にした。
IPFの研究における平均効果量は-0.305(SE 0.043)(p<0.001)、非IPFの研究では-0.307(SE 0.063)(p<0.001)であった。標準化されたFVC低下率については、両群間に差は認められなかった(p=0.979)。
IPFと非IPFをプールした結果、死亡率の有意な減少が認められた(平均リスク比は0.701、p = 0.008)。非IPFに限定した別の解析では、死亡率の有意な低下は認められなかった(リスク比 0.908(0.547~1.508),p = 0.71)。
まとめ
抗線維化療法は、進行性肺線維症におけるFVCの減少率に対して保護効果を示し、現在臨床で使用されている2つの抗線維化剤間で同様の効果が示された。基礎疾患がIPFであっても進行性線維化を伴う非IPFであっても抗線維化療法の効果に有意差はなく、共通の病態であるという仮説を支持するものであった。