ピルフェニドンの有効な一群:SP-D<202ng/ml

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特発性肺線維症(IPF)の治療薬の一つにピルフェニドン(商品名:ピレスパ)がありますが、今回ピルフェニドンの有効性を示しうるバイオマーカー(SP-D)が報告されました。

Ikeda K, et al. Serum surfactant protein D as a predictive biomarker for the efficacy of pirfenidone in patients with idiopathic pulmonary fibrosis: a post-hoc analysis of the phase 3 trial in Japan. Respir Res 2020;21:316.

 

 

背景

特発性肺線維症(IPF)は、進行性で致死性の疾患であり、その病態は様々である。近年、抗線維化療法が進歩し、信頼性の高い特異的なバイオマーカーの必要性が高まっている。

本研究では、ピルフェニドンの効果予測因子として肺胞上皮バイオマーカーを評価することを目的とした。

 

方法

日本におけるピルフェニドンの前向き多施設共同無作為化プラセボ対照第3相試験(総数 n=267、ピルフェニドン n=163、プラセボ n=104)のポストホック解析を実施した。

ロジスティック回帰分析により、52週目におけるベースラインからの肺活量(VC)の相対的低下10%以上および/または死亡で定義される疾患進行を予測するパラメータを抽出した。

血清SP-D、SP-A、KL-6の評価については、ベースライン時の各バイオマーカーの中央値によって全患者を高バイオマーカー群と低バイオマーカー群に分類した。これらの濃度について、ベースラインから 52 週目までの各時点における VC の変化、および無増悪生存期間(PFS)との関連性を検討した。

 

結果

多変量ロジスティック回帰分析では、ピルフェニドン群ではBMI、%VC、SP-Dが、プラセボ群ではBMI、%VCが疾患進行の予測因子として示された。

 

ピルフェニドン投与により、低SP-Dおよび低SP-Aグループでは、治療期間の大部分で VC の低下が統計的有意に抑制され、低SP-Dおよび低KL-6グループでは PFS も延長された。

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(図. SP-D、SP-A、KL-6で分類した群での肺活量(VC)の変化。文献より引用掲載)

 

 

<まとめ>

特発性肺線維症(IPF)において、血清SP-D(<202 ng/ml)はピルフェニドンの有効性を示すバイオマーカーである。

 

 

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