強皮症に伴う間質性肺炎に対するニンテダニブの長期効果(2023年)

強皮症で間質性肺炎がある患者を対象にニンテダニブの効果を示したSENSCIS試験ですが、そのニンテダニブの延長効果に関する結果が報告されました。
Allanore Y, Khanna D, Smith V, Aringer M, Hoffmann-Vold A-M, Kuwana M, et al. Effects of nintedanib in patients with limited cutaneous systemic sclerosis and interstitial lung disease. Rheumatology 2023.

強皮症で間質性肺炎のある患者では、ニンテダニブの効果が長期的に続くことが示されました。

SENSCIS試験に関しては以下の記事もご覧ください。

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

目的

限局皮膚硬化型全身性強皮症(lcSSc)の患者において、間質性肺疾患(ILD)の経過と、nintedanibの影響を調査する。

方法

SENSCIS試験において、SSc-ILDの患者はnintedanibまたはプラセボを受けるように無作為に割り当てられた。SENSCIS試験を終えた患者は、SENSCIS-ONに参加資格があり、すべての患者がオープンラベルのnintedanibを受けた。

結果

SENSCIS試験で治療を受けた277人のlcSSc患者の中で、52週間にわたるFVC(肺活量、単位はmL/年)の低下率は、プラセボ群で-74.5(標準誤差19.2)、nintedanib群で-49.1(標準誤差19.8)でした(差:25.3 [95%信頼区間 -28.9, 79.6])。
52週目のデータがある249人の患者の中で、プラセボ群のFVCの平均変化は-86.4(標準誤差21.1)mL、nintedanib群は-39.1(標準誤差22.2)mLでした。

SENSCIS-ONに参加し、52週目のデータがある183人のlcSSc患者において、SENSCIS試験でプラセボを投与し、SENSCIS-ONでnintedanibを開始した患者のFVCの基線からの平均変化は-41.5(標準誤差24.0)mL、SENSCIS試験でnintedanibを投与し、SENSCIS-ONでそれを継続した患者は-45.1(標準誤差19.1)mLでした。

結論

lcSScの患者は、進行性の線維化を引き起こすILDを発症する可能性がある。肺線維化に対する作用により、nintedanibはlcSSc-ILDの患者で肺機能の低下を遅らせる。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!