特発性肺線維症(IPF)の治療薬の一つであるニンテダニブ(商品名:オフェブ)ですが、その後2019年に全身性強皮症関連間質性肺疾患にも適応が追加されました。その根拠となったのが、SENSCIS試験(国際共同第3相試験)です。
SENSCIS試験の概要
576例の全身性強皮症に伴う間質性肺疾患を対象にした試験で、
ニンテダニブ群とプラセボ群にわけ、
52週時点での努力性肺活量(FVC)の変化を比較しました。
登録された患者の背景
- 女性が全体の75%
- 平均年齢が54歳
- びまん皮膚硬化型全身性強皮症が52%
- 胸部CTで線維化の広がりの平均は36%
- 登録時努力肺活量(FVC)が2500ml程度(%FVCは72%)
- 拡散能(DLCO)が53%
- 抗Scl-70抗体陽性は61%
- mRSS(皮膚硬化のスコア)は11点
- 全体の約半数がミコフェノール酸モフェチル(商品名:セルセプト)を使用
SENSCIS試験の結果
576例の全身性強皮症に伴う間質性肺疾患を対象に、ニンテダニブ群とプラセボ群にわけ、52週時点での努力性肺活量(FVC)の変化を比較しました。結果は、
- ニンテダニブ群:52週時点でFVCは52.4ml低下
- プラセボ群:52週時点でFVCは93.3ml低下
であり、ニンテダニブは年間のFVC低下を有意に抑制しました(p=0.04)。
さらに、サブグループ解析では、
- 性別や年齢が65歳以上かどうか
- 抗Scl-70抗体の有無
- 全身性強皮症がびまん皮膚硬化型か限局皮膚硬化型か
- セルセプト使用の有無
にかかわらず、ある程度一貫して効果を認めています。
この試験結果の報告により、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患に対するニンテダニブの有効性が明らかとなり、現在では治療薬の一つとして保険承認されています。
抗線維化薬についてのまとめは以下の記事もご覧ください▼
<まとめ>
SENSCIS試験により、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患に対するニンテダニブの有効性が明らかとなった。
(最終アップデート:2021年11月27日)