関節リウマチや全身性強皮症などいわるゆ膠原病、全身性自己免疫疾患では間質性肺炎が合併することが報告されています。今回は間質性肺炎の重要な合併症である急性増悪に関する日本からの報告です。
膠原病に伴う間質性肺炎でも急性増悪を発症しますが、特に関節リウマチ、全身性強皮症、ANCA関連血管炎で頻度が高く認めることが明らかとなりました。
急性増悪に関する一般的な知識は以下の記事をご覧ください
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
全身性自己免疫疾患に伴う間質性肺疾患(SAID-ILD)の急性増悪(AE)は、特発性肺線維症(IPF)のAEより頻度が低く、AE-SAID-ILDの詳細は解明されていないが、予後は同様に極めて不良であると報告されている。
本研究の目的:各SAID-ILDにおけるAEの発生率を明らかにし、AE-SAID-ILDにおける進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)の割合を明らかにすること。
方法
1999年から2020年の間に単施設で診断・観察されたSAID-ILDのデータをレトロスペクティブに分析。
結果
SAID-ILD 患者 232 例が登録され、平均観察期間は 100.2 ヵ月であった。AE-SAID-ILDは25例(10.78%)に認められ、主に関節リウマチ(17例、68%)および喫煙歴のある高齢男性患者に多く認めた。
AE-SAID-ILDの全発生率は1.29%/人年であり、各SAIDの発生率は以下の通りであった。
関節リウマチ(RA) 2.193
顕微鏡的多発血管炎(MPA) 3.203
全身性強皮症(SSc) 2.277
原発性シェーグレン症候群 0.426
多発性筋炎・皮膚筋炎 0.222
RA/MPA/SSc-ILDのAE発生率は、他のAE-SAID-ILDの発生率より有意に高かった(p<0.001)。AEを発症した25例中5例(20%)がPF-ILDの基準を満たした。
90日生存率は48.0%で、AE時の好中球数が多いこと(HR 13.27, 95%CI 2.447-246, p = 0.001)、PMX早期開始(HR 0.105, 95%CI 0.005-0.858, p = 0.035)は有意な予後予測因子であった。
結論
AE-SAID-ILDの発症率は、RA、MPA、SScの患者において、他のSAIDの患者よりも有意に高いことが示された。