検診などでたまたま偶然発見された肺の間質の異常陰影をILA(interstitial lung abnormalitiy)と呼んでいますが、2020年にILAのposition paperが発表されました。
ILAのposition paperに関してはこちらの記事をご覧ください。
このILAに関しては、実は膠原病は含まれていません。
そこで、今回、膠原病の患者におけるILAに関して、レビューが報告されました。このレビューの第2章3節に膠原病におけるILAについてまとめられました。
Yoo H, et al. Connective tissue disease-related interstitial lung disease (CTD-ILD) and interstitial lung abnormality (ILA): Evolving concept of CT findings, pathology and management. Eur J Radiol Open 2022; 9: 100419.
ここで膠原病における
①ILAのCT所見の定義
②ILAはいつILD(間質性肺疾患)になるのか
③ILAの管理をどうするかに
ついて記載があります。
①膠原病におけるILAのCT所見の定義
膠原病におけるILAのCT所見の定義は、従来のILAの定義の準ずることとしています。
②膠原病におけるILAはいつILDになるのか
ILDの定義は以下の3つで規定されています。
ⅰ)呼吸器症状や身体検査所見がILDに起因する可能性がある
ⅱ)CT上、3つ以上の肺区域に異常が認められる
ⅲ)肺機能障害やガス交換障害がILDに起因する可能性があること
これらを満たす場合にはILDとみなすことになりそうです。
③膠原病に伴うILAの管理
膠原病に伴うILAは、以下に沿って管理を行うことが重要です。
- 進行のリスクが高いことが知られているため、3-12か月ごとに再評価と肺機能検査を繰り返し、積極的にモニタリングを行う
- 12-24か月後、あるいは臨床的または生理学的進行がある場合はより早い時期に、CTを繰り返し施行すること
ILAという概念を膠原病の患者さんでどのように考えたらよいのか、
今後の課題の一つです。