2020年に約1000例のデータを用いて、特発性肺線維症(IPF)とIPF以外の間質性肺炎での、急性増悪の発症頻度と予後を調べた研究が、日本の単施設から報告されました。
対象の疾患
- 対象は間質性肺炎の患者1019例
- 特発性肺線維症(IPF):462例
- その他間質性肺炎:557例
- 非特異性間質性肺炎(NSIP):22例
- 過敏性肺炎(CHP):29例
- 膠原病に伴う間質性肺炎:205例
- 分類不能型間質性肺炎:301例
結果①:急性増悪の発症率
- 急性増悪の発症率
- 特発性肺線維症:8.38/100人年
- その他間質性肺炎:3.21/100人年
- 非特異性間質性肺炎(NSIP):1.77/100人年
- 過敏性肺炎(CHP):6.05/100人年
- 膠原病に伴う間質性肺炎:3.19/100人年
- 分類不能型間質性肺炎:約3.10/100人年
- 観察期間3.4年
- 急性増悪の頻度はIPFで27%、IPF以外の間質性肺炎で12%
- 急性増悪までの期間は、特発性肺線維症よりもその他間質性肺炎で有意に長い
急性増悪後の90日死亡率
- 急性増悪発症後の90日死亡率
- 特発性肺線維症(IPF):47%
- その他間質性肺炎:38%
急性増悪を発症した後の経過は、その他間質性肺炎であっても短期的に特発性肺線維症の急性増悪と同様の予後を呈する(p=0.345)。
<まとめ>
急性増悪は特発性肺線維症(IPF)だけでなくIPF以外の間質性肺炎でも発症しうる病態であり、発症後の90日死亡率はIPFで約50%、IPF以外の間質性肺炎で約40%である。
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(記事更新:2022年04月15日)