強皮症に伴う間質性肺炎:1年間の治療前後のKL-6の推移

全身性強皮症に伴う間質性肺炎とKL-6の関係は過去の記事でも報告させていただきましたが、治療介入を行った際にKL-6がどのように推移するのでしょうか。

 

 

セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル; MMF)もしくは経口エンドキサン(cyclophosphamide; CYC)1年間の治療した際に、KL-6がどのように推移するかをまとめた研究が報告されています。

Volkmann ER, et al. Progression of Interstitial Lung Disease in Systemic Sclerosis: The Importance of Pneumoproteins Krebs von den Lungen 6 and CCL18. Arthritis Rheumatol 2019;71:2059–67.

 

 

 

この研究は、Scleroderma Lung StudyⅡというアメリカで行われたランダム化比較試験に登録された患者を対象に解析しています。

(このScleroderma Lung StudyⅡについてはまた後日まとめさせていただきます)

 

 

この研究の患者背景は以下の通りで、1年間セルセプト(MMF)もしくは経口エンドキサン(CYC)で治療を行った患者が対象です。

  • 対象は142例
  • 平均年齢は52歳
  • 女性が72%
  • 努力肺活量(FVC)の平均は66%程度
  • 肺拡散能力(DLCO)の平均が54%程度
  • KL-6の値は1750 U/ml程度

 

 

 

<結果>

1年間のセルセプト(MMF)もしくは経口エンドキサン(CYC)により、KL-6は平均で100.60 U/mlほど低下しました。

 

 

KL-6の低下を治療薬別にみると、

  • セルセプト(MMF)群の低下は146.40 U/ml
  • 経口エンドキサン(CYC)群の低下は55.72 U/ml

であり、セルセプト(MMF)群では有意にKL-6が低下したようです。

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また、これまでの報告と同様に、KL-6の値が高値であるほど、その後の1年間の努力性肺活量(FVC)や肺拡散能力(DLCO)の低下と関係していたようです。

 

 

 

KL-6の値は治療前後で変化することがわかりますが、この変化がどのような意味があるのか、今後のさらなる検証が必要です。

 

 

 

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