間質性肺炎では治療薬としてミコフェノール酸モフェチルやリツキシマブなどが、特に海外で用いられることが多いですが、今回NSIPパターンの間質性肺炎に対して、ミコフェノール酸モフェチルとリツキシマブの併用効果を示す研究結果(EVER-ILD)が報告されました。
Mankikian J, Caille A, Reynaud-Gaubert M, Agier M-S, Bermudez J, Bonniaud P, et al. Rituximab and mycophenolate mofetil combination in patients with interstitial lung disease (EVER-ILD): a double-blind, randomised, placebo-controlled trial. Eur Respir J 2023;61.
NSIPパターン間質性肺炎において、ミコフェノール酸モフェチルにリツキシマブを併用することで、治療後6か月間の肺機能は有意に改善することが報告されました。ただ、感染症には注意が必要です。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
非特異的間質性肺炎(NSIP)パターンを持つ間質性肺疾患(ILD)の標準治療は、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)が第一選択薬の一つであり、リツキシマブを救命治療として使用されている。
方法
ランダム化、二重盲検、二並列群、プラセボ対照試験(NCT02990286)で、膠原病関連ILDまたは特発性間質性肺炎(自己免疫的特徴の有無)でNSIPパターンの患者を、1:1の比率でランダムに割り当て、リツキシマブ(1000 mg)またはプラセボをday1とday15に投与、MMF(1日2 g)を併用して6か月間投与した。
NSIPパターンの定義:病理NSIPパターン、臨床・HRCT画像でNSIPパターン
主要エンドポイント:ベースラインから6か月までの予測される肺活量(FVC)の変化。
副次エンドポイント:最大6か月までの無増悪生存(PFS)と安全性。
結果
2017年1月から2019年1月にかけて、122人のランダム化された患者がリツキシマブ(n=63)またはプラセボ(n=59)の少なくとも一回の投与を受けた。
患者背景:膠原病関連ILD n=43(強皮症 23、筋炎 8、シェーグレン 7、関節リウマチ 3、MCTD 2)、IPAF所見のあるILD n=36、特発性ILD n=43
PSL併用量(中央値):リツキシマブ+MMF群15mg、プラセボ+MMF群17.5mg
リツキシマブ+MMF群でのベースラインから6か月までのFVC(%予測)の最小二乗平均変化は+1.60(標準誤差 1.13)、プラセボ+MMF群は-2.01(標準誤差 1.17)(群間差 3.60、95% CI 0.41-6.80; p=0.0273)。
PFSはリツキシマブ+MMF群で良好(粗ハザード比 0.47、95% CI 0.23-0.96; p=0.03)。
リツキシマブ+MMF群で26人(41%)、プラセボ+MMF群で23人(39%)に重篤な有害事象が発生した。リツキシマブ+MMF群で9件の感染症(5件の細菌感染、3件のウイルス感染、1件その他)、プラセボ+MMF群で4件の細菌感染が報告された。
解釈
ILDおよびNSIPパターンを持つ患者において、リツキシマブとMMFの組み合わせはMMF単独よりも優れていた。この組み合わせの使用は、ウイルス感染のリスクを考慮する必要がある。