気管支鏡検査中に高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)を用いることで、検査中の低酸素を予防することができる可能性が示されました。
背景
気管支鏡検査の時に低酸素症は頻繁に発生するが、高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)を用いることで、気管支鏡検査中のガス交換の悪化を防ぐ可能性がある。
目的:HFNCを改良して1本のカニューレを用いた改良版HFNCを用いて、改良版HFNCが気管支鏡検査中にSpO2が90%未満となる瞬間が1回ある患者の割合を減少させるという仮説を検証すること。
方法
中国で行われた単施設の前向き無作為化対照試験。
気管支鏡検査が必要な呼吸器内科の入院患者を対象とし、改良版HFNC群(A)と通常酸素療法群(B)に無作為に割り付けた。
主要アウトカム:気管支鏡検査中に SpO2 が 90%未満となった患者の割合
結果
合計812名の患者が登録され、改良版HFNC群(n=406)または通常酸素投与群(n=406)に割り付けられた。24名の患者が気管支鏡検査に協力または応じることができなかったため、788人の患者を解析した。
気管支鏡検査中にSpO2が90%未満となった患者の割合は、改良版HFNC群で12.5%、通常酸素投与群は28.8%であり、改良版HFNC群で有意に低い割合であった。
- 気管支鏡検査の時間
- 改良版HFNC群685秒 vs 通常酸素投与群800秒(p<0.001)
- SpO2が90%未満の時間
- 改良版HFNC群22秒 vs 通常酸素投与群115秒(p<0.001)
酸素投与量は両群で有意差はなかったが、気管支鏡検査中や検査5分後のSpO2最低値は改良版HFNC群で有意に高値であった(下図)。
<まとめ>
カニューレを1つにした改良版HFNCは、気管支鏡検査中に低酸素となる患者の割合を低下させ、低酸素時間も減少することができる。