日本人のニンテダニブ市販後調査(中間解析結果)

日本人を対象としたニンテダニブ(商品名:オフェブ)の市販後調査の中間解析結果が報告されました。

Ogura T, et al. Real-World Safety and Tolerability of Nintedanib in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Interim Report of a Post-Marketing Surveillance in Japan. Adv Ther 2023.

日本人を対象としてニンテダニブの市販後調査の中間解析結果から、特発性肺線維症の患者の約50%が治療開始後1年以内にニンテダニブを中止しており、重症例や低肺機能例は早期治療中止のリスクがありそうです。

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

ニンテダニブは特発性肺線維症(IPF)の治療薬として推奨されているが、有害事象による治療中止が多く見られる。
日本人のIPF患者を対象に、日常臨床におけるニンテダニブの実際の忍容性/安全性を調査する大規模な市販後調査研究が実施されているが、本試験の12ヶ月間の中間解析結果を報告する。

方法

本試験は、2015年8月31日から2018年12月25日の間にニンテダニブを開始した日本人IPF患者を対象とした。

主要評価項目:ニンテダニブとの因果関係が否定できない有害事象と定義した薬物有害反応の頻度。

副次的アウトカム:努力肺活量(FVC)のベースラインからの変化。12 ヵ月後にニンテダニブを中止した患者(「中止」サブグループ)と継続した患者(「継続」サブグループ)の転帰を分析した。多変量解析により、治療中止の潜在的な危険因子を特定した。

結果

安全性解析対象患者5578人のうち、2795人(50.1%)が治療開始後12カ月以内にニンテダニブを中止した。

全体で3767例(67.5%)に薬物有害反応が認められ、1356例(24.3%)が薬物有害反応のためにニンテダニブを中止した。
また、「中止」サブグループ(n=2795)の患者では、1442名(51.6%)が薬物有害反応を理由に中止した。
3ヶ月および12ヶ月以内の投与中止の原因となった最も一般的な薬物有害反応は、それぞれ肝機能異常(n = 137/730、18.8%)および下痢(n = 190/1442、13.2%)であった。

12ヵ月後のFVCのベースラインからの減少は、「継続」サブグループは「中止」サブグループよりも少なかった(調整済み平均±標準誤差変化量 – 104.4 ± 10.9 ml vs – 311.2 ± 29.2 ml)。
ステージIII/IVのIPFおよびベースライン時のFVC<70%は、早期治療中止の危険因子であった。

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