ここでは、ネーザルハイフローに期待する4つの効果について関して記載します。
①正確な酸素濃度を投与できる
通常の鼻カヌラとは異なり、一回換気量のすべてをネーザルハイフローからのガスで補うことが期待されるため、患者の呼吸数の影響をほとんど受けずに、最大で100%の高濃度までの酸素投与ができます。
つまり、ネーザルハイフローの酸素濃度とほぼ同等の酸素濃度のガスを投与することが可能です。
②解剖学的死腔のウォッシュアウト効果
気道には死腔と呼ばれる、呼吸をしているのに血液との酸素の交換(ガス交換)に関与しない部分があり、成人ではおよそ150ml程度の解剖学的死腔があるといわれています。ネーザルハイフローはこの死腔内にたまった呼気ガスを洗い出す(ウォッシュアウト)効果が期待され、それにより二酸化炭素の再吸収を防いだり、ガス交換の効率を上げることができます。
③上気道抵抗の軽減
吸気流速を上回る高流量でガスを投与できるため、吸気に伴う鼻咽頭の虚脱を防ぐことができます。
④気道の線毛の粘液クリアランスの維持
高流量による乾燥を加湿によって防ぎ、線毛機能の維持が期待されます。その結果として、分泌物の除去が可能です。
この4つはネーザルハイフローを使用する際にはぜひ覚えておいてほしい効果ですが、特に①正確な酸素投与と②解剖学的死腔のウォッシュアウト効果は極めて重要です。
これらの効果により、最終的には呼吸の仕事量の減少や換気量の増加につながることが期待されます。
<まとめ>
ネーザルハイフローに期待する効果は4つ:①正確な酸素投与、②解剖学的死腔のウォッシュアウト効果、③上気道抵抗の軽減、④粘液クリアランスの維持です。