IPFにおける口腔内常在菌と疾患挙動(Am J Respir Crit Care Med. 2023)

論文のタイトル: Commensal Oral Microbiota, Disease Severity and Mortality in Fibrotic Lung Disease
著者: David N O’Dwyer, et al.
出版年: 2023
ジャーナル: American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine PMID: 38051927

特発性肺線維症における口腔内常在菌と疾患の重症度及び死亡率の関連を調査した研究が報告されました。

abstractの日本語訳:
背景: 口腔微生物群は口腔疾患に関連しており、肺の微生物群の源となる。しかし、肺疾患における口腔微生物群の役割は不明である。
目的: 特発性肺線維症における口腔微生物群と疾患の重症度、死亡との関連を明らかにする。
方法: CleanUP-IPF試験における特発性肺線維症患者511名の口腔スワブからの16S rRNA遺伝子とショットガンメタゲノムシーケンスデータを分析した。口腔スワブは通常のケアと抗菌コホートから収集された。微生物群データは主成分分析と線形回帰モデルを用いて疾患の重症度と相関関係を解析た。口腔微生物群と死亡率との関連は、Cox加算モデル、Kaplan Meier分析、Cox比例ハザードモデルを用いて決定された。
測定と主な結果: 口腔微生物群の多様性は、ベースラインでの努力肺活量(FVC)の低下と関連していた[平均差 -3.60: 95% CI -5.92 to -1.29 percent predicted FVC per 1 unit increment]。口腔内のStreptococcusの割合はFVCと正の相関があった[平均差 0.80: 95% CI 0.16-1.43 percent predicted per 10% increase] (n=490)。微生物群の多様性は死亡リスクの増加と関連していた[HR 1.73: 95% CI 1.03-2.90]、一方でStreptococcusの割合が大きいことは死亡リスクの減少と関連していた[HR 0.85: 95% CI 0.73 to 0.99]。Streptococcus属は主にStreptococcus mitis種から構成されていた。
結論: 口腔微生物群の多様性は特発性肺線維症における疾患の重症度と死亡と関連を認めた。口腔常在菌であるStreptococcus mitis sppは肺機能の保持と生存率の改善と関連していた。

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