韓国のSong先生らのグループから、大気汚染と間質性肺疾患(ILDs)に関するレビューが報告されました。大気汚染がILDsに与える影響やメカニズム、どのような介入が必要なのかなど、大変重要なポイントですので、紹介します。
引用文献:Jo YS, Song JW. Air pollution and interstitial lung disease. Tuberc Respir Dis (Seoul) 2024.
アブストラクトの概要
■大気汚染物質は主に粒子状物質(PM)、オゾン(O₃)、二酸化窒素(NO₂)、一酸化炭素(CO)、および二酸化硫黄(SO₂)で構成され、これらは複数の呼吸器疾患のリスク因子として認識されている。
■新たなエビデンスは、大気汚染がILDsの発症や急性増悪に寄与する可能性を示唆している。
■縦断研究では、大気汚染が肺機能の低下や死亡率の増加を通じて疾患予後に悪影響を及ぼすことが示されている。
■多くのin vitro、in vivo、疫学研究により、大気汚染への曝露による炎症や酸化ストレスがミトコンドリア機能障害を誘発し、細胞老化を促進し、正常な上皮修復プロセスを妨げる可能性があるというメカニズムが提案されている。
■しかし、ILDsへの具体的な影響や関連するメカニズムは十分には研究されていない。
■また、これら知見にかかわらず、大気汚染がILDに及ぼす影響を軽減する効果的な介入法はまだ十分に確立されていない。
■本レビューでは、ILDsの主要な環境リスク因子としての大気汚染に関して、その影響を明らかにし、予防および治療戦略を開発するためのさらなる研究の必要性を強調している。