間質性肺疾患に合併する非結核性抗酸菌症(J Infect Chemother. 2024)

間質性肺疾患の重要な合併症の一つが非結核性抗酸菌症です。特に免疫抑制剤や生物学的製剤の使用に際し、注意して観察する必要があります。この非結核性抗酸菌症に関して、合併頻度と臨床的特徴に関してまとめた研究結果が日本から報告されました。

本研究では間質性肺疾患のうち約2%に非結核性抗酸菌症を合併し、そのうち約4人に1人が慢性肺アスペルギルス症を合併したということでした。これら合併症に注意して経過を観察する必要があります。

引用:Watanabe M, et al. Clinical characteristics of pulmonary Mycobacterium avium complex disease in patients with interstitial lung disease. J Infect Chemother 2024.

背景
■非結核性抗酸菌(Mycobacterium avium complex)肺疾患(MAC-PD)は、臨床的に間質性肺疾患(ILD)と合併することがあるが、臨床研究は限られている。
■本研究の目的:ILDにおけるMAC-PDの臨床および画像所見を明らかにすること。

方法
■2011年から2021年にMAC-PDと診断されたILD患者54例の医療記録から画像および臨床データを後ろ向きに解析。
■これらの患者と当院で診断されたILD患者2218例の画像および臨床データを比較した。

結果
■平均年齢は74歳、男性25人、女性29人、平均BMIは20.0 kg/m²。
■ILD全体と比較すると、ILDに関連するMAC-PD患者は高齢であり、BMIが低かった。
■ILDとして最多は分類不能型ILD。
■MAC-PDの画像分類:結節性気管支拡張型(NB型)17例、線維空洞型(FC型)15例、分類不能型(UC型)22例。
■UC型では、MAC感染を示唆する明確な所見がないため診断が困難であった。
慢性肺アスペルギルス症の合併率は24.1%。
■ILD関連MAC-PDの平均生存期間は55.6か月で、通常のMAC-PDより短かった。UC型はNB型に比べて生存期間が短く、FC型と同様であった。

結論
■ILDに関連するMAC-PDは、慢性肺アスペルギルス症を頻繁に合併し、予後が悪い。最も一般的な画像タイプであるUC型は特に生存期間が短い。ILDに関連するMAC-PDの管理には注意が必要である。

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