2024年4月に難病制度が改訂されましたが、間質性肺炎では6分間歩行試験の低酸素に注意する必要があります。
特発性肺線維症(IPF)では他の間質性肺疾患と比較して、6分間歩行試験の低酸素の程度が強いことが日本の施設より報告されました。
引用文献:Otake K, et al. Exertional Desaturation Is More Severe in Idiopathic Pulmonary Fibrosis Than in Other Interstitial Lung Diseases. Phys Ther Res 2023;26:32–7.
目的
■間質性肺疾患(ILD)はいくつかの疾患群に分類される。その中でも、特発性肺線維症(IPF)は発生率が高く予後が悪いため、特異的なIPFの症状を特徴づけることが重要である。
■運動時低酸素血症はILD患者の死亡に強く関連する要因である。
■研究目的:運動時の酸素飽和度の低下の程度をIPF患者とその他のILD(non-IPF ILD)患者とで比較すること。
方法
■本研究は、外来で6分間歩行試験(6MWT)を受けた126名の安定したILD患者を対象とした後ろ向き研究である。
■6MWT:運動時の低酸素血症、6分間歩行距離(6MWD)、および運動の終わりにおける息切れを評価。
結果
■研究対象者は51名のIPF患者と75名のnon-IPF ILD患者。
■IPF群は、6MWT中のパルスオキシメトリーによって測定された最低SpO2がnon-IPF ILD群よりも有意に低かった(IPF, 86.5 ± 4.6%;non-IPF ILD, 88.7 ± 5.3%;p = 0.02)。
■性別、年齢、BMI、肺機能、6MWD、息切れの調整後も、最低SpO2とIPFまたはnon-IPF ILDのグループ分けとの有意な関連が残った(β = -1.62;p <0.05)。
結論
■交絡因子を調整した後も、IPF患者は6MWT中の最低SpO2が低かった。
■他ILDと比較して、IPFにおいては6MWTを用いた運動時低酸素の早期評価がより重要である可能性がある。