過敏性肺炎に対するステロイドと抗原回避(2018年ベルギー)

2018年にベルギーのグループから過敏性肺炎のステロイド治療や抗原回避についての研究が報告されました。

De Sadeleer LJ, Hermans F, De Dycker E, Yserbyt J, Verschakelen JA, Verbeken EK, et al. Effects of Corticosteroid Treatment and Antigen Avoidance in a Large Hypersensitivity Pneumonitis Cohort: A Single-Centre Cohort Study. J Clin Med Res 2018;8.

 

一言解説

過敏性肺炎は線維化の有無で分類され、線維化のない過敏性肺炎はステロイドや抗原回避が有用であるが、線維化性過敏性肺炎に対するステロイドや抗原回避の有効性はまだ議論がある。

 

 

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さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

過敏性肺炎(HP)は、間質性肺疾患の中で3番目に頻度の高い疾患であるが、明確な診断・治療指針のない疾患である。我々は、過敏性肺炎のコホートにおいて、一般的に用いられる治療介入(曝露回避と副腎皮質ステロイド治療)の効果を評価した。

 

方法

2005年1月1日から2016年12月31日の間に当センターで追跡調査を行った全HP患者の臨床データを収集した。HP患者を胸部CTでの線維化の有無により層別化した。生存率は、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて分析した。努力肺活量(FVC)と肺拡散能力(DLCO)の推移は、線形混合効果モデルを用いて分析した。

 

結果

202人のHP患者が同定された。非線維化HP(nfHP)93例と線維化HP(fHP)109例で、治療前のFVC低下はそれぞれ毎月0.93%と0.56%であった。

nfHPの生存率は良好であったが、fHP患者の生存期間(中央値)は9.2年であった。

副腎皮質ステロイド治療と抗原回避は生存期間に差を生じさせなかった。

  • 副腎皮質ステロイド開始後:nfHPではFVCとDLCOの改善が認められたが、fHPでは治療効果は認められなかった。
  • 抗原回避後:nfHPではFVCとDLCOが改善し、fHPでもFVCの改善を認めた。

(図. fHP、ステロイド有無での生存曲線。文献より引用掲載)

<まとめ>

nfHP患者は、副腎皮質ステロイドと抗原回避により肺機能は改善し、予後良好であった。一方でfHP患者は、副腎皮質ステロイドによる治療効果はなく、抗原回避の有効性もまだ議論があり、予後不良な経過であった。

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