関節リウマチに伴う間質性肺疾患の急性増悪後の予後及び予後予測モデルが日本から報告されました。
一言解説
リウマチに伴う間質性肺炎は急性増悪を発症し、急性増悪後の90日死亡率は約50%であった。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)患者は、特発性肺線維症(IPF)患者と同様に、予期せぬ急性増悪(AE)を起こす可能性がある。RA-ILD患者におけるAE発症率および危険因子は知られているが、AE-RA-ILDは稀であるため、AE後の臨床経過は不明である。
本研究では、AE-RA-ILD患者のAE後の死亡率および予後因子を調査し、AE-RA-ILDの死亡率予測モデルを構築した。
方法
AE-RA-ILD患者58例とAE-IPF(対照疾患)患者96例を対象とした。多変量Cox回帰分析を行い、予後予測変数を同定した。予測モデルは、再帰分割分析(決定木)を用いて作成した。
結果
AE-RA-ILD群全体のAE発症後90日死亡率は48.3%であり、AE発症前12カ月以内の%FVC(ベースライン%FVC)およびAE発症時のPaO2/FiO2比(AE時P/F)は死亡率の独立した予測因子であった。
年齢、性別、ベースライン%FVC、AE時P/Fで傾向スコアをマッチさせたAE-RA-ILD患者とAE-IPF患者の発症後90日死亡率は、それぞれ40.6%と43.8%であった(p=1.0000)。
AE-RA-ILD患者では、ベースライン%FVCとAE時P/Fの90日死亡率予測のc-indicesはそれぞれ0.604、0.623であった。これらの予後因子に基づいた決定木モデルにより、AE-RA-ILD患者は軽度、中等度、重度のグループに分類され(AE後90日死亡率は20.8%、64.0%、88.9%であり(p=0.0002))、C-indexは0.775に改善した。
<まとめ>
RA-ILDの急性増悪後の90日死亡率は約50%であり、IPFと同様の結果であった。今回のRA-ILDの急性増悪後の死亡予測モデルがbaseline %FVCと急性増悪時のP/Fから構築された。