ニンテダニブのINBUILD試験サブグループ別の効果

進行性線維化を伴う間質性肺疾患に対するニンテダニブの有効性を示したINBUILD試験ですが、そのサブグループ解析が報告されています。

Maher TM, Brown KK, Kreuter M, Devaraj A, Walsh SLF, Lancaster LH, et al. Effects of nintedanib by inclusion criteria for progression of interstitial lung disease. Eur Respir J 2022;59. https://doi.org/10.1183/13993003.04587-2020.

 

★INBUILD意見に関しては以下の記事もご覧ください。

 

一言解説

線維化が進行する間質性肺炎に対して、ニンテダニブは努力肺活量の抑制効果が期待されるが、今回サブグループ解析が報告され、治験の各患者群においても同様の効果が期待される傾向にあり、特に努力肺活量が10%以上低下した群に関しては努力肺活量の有意な減少効果や急性増悪抑制効果が期待できることが明らかとなった。

 

 

 

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

INBUILD試験では、進行性の線維性間質性肺疾患(ILD)患者を対象に、ニンテダニブとプラセボを比較検討した。

研究目的:ILD進行の組み入れ基準に基づくサブグループにおいて、FVCの低下を検討。

 

方法

対象は、特発性肺線維症(IPF)以外の線維性ILDを有し、臨床で適切と考えられる管理にもかかわらず、スクリーニング前の24ヶ月以内にILDの進行の以下の基準を満たした被験者とした。

A群:予測値10%以上のFVC相対低下

B群:予測値5~10%以上のFVC相対低下と呼吸器症状の悪化および/または高解像度CT(HRCT)上の線維化範囲拡大

C群:呼吸器症状の悪化とHRCT上の線維化範囲拡大のみ。

 

結果

プラセボ群では、52週間のFVC低下率は、A群では-241.9、B群では-133.1、C群では-115.3mL/年(サブグループ間相互作用のp=0.0002)であり、UIPパターンの患者ではそれぞれ-288.9、-156.2、-100.1mL/年(サブグループ間相互作用のp=0.0005)であった。

ニンテダニブは、A群は、B群またはC群よりもFVC低下率の抑制効果が大きかった(下図)。

しかし、ニンテダニブのプラセボに対する相対効果は、サブグループ間で一貫していた(異質性についてはp>0.05)。

(図. FVC減少の抑制効果。a)全患者、b)UIPパターン、c)他の画像パターン。文献より引用掲載)

 

さらに、A群においては急性増悪の発症もしくは死亡の改善効果を有意に認めた。

(文献より引用掲載)

<まとめ>

INBUILD試験のサブグループ解析において、ニンテダニブはプラセボに比較して、サブグループ全体でFVC低下率の抑制する傾向にあり、特にFVC10%以上低下する群に関しては、有意にFVC減少を抑制し、また急性増悪発症の抑制効果が期待できた。

 

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