IPF急性増悪に対するシクロホスファミド投与(EXAFIP試験)

特発性肺線維症(IPF)の急性増悪の治療にはステロイドや免疫抑制剤が使用されています。免疫抑制剤の一つにシクロホスファミド(商品名:エンドキサン)がありますが、フランスから、急性増悪の際にシクロホスファミドを初期から投与することで、なんと3か月死亡率が低下する可能性が示唆されました(EXAFIP試験)
Naccache J-M, et al. Cyclophosphamide added to glucocorticoids in acute exacerbation of idiopathic pulmonary fibrosis (EXAFIP): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial. Lancet Respir Med 2021.

特発性肺線維症の急性増悪において、初期からシクロホスファミドの大量静注療法を行うことは、3か月死亡率の上昇と関連があることが明らかとなりました。

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

特発性肺線維症(IPF)の急性増悪に対するシクロホスファミドの使用は不明である。

研究目的:IPFの急性増悪を対象に、高用量メチルプレドニゾロンに加え、シクロホスファミド4回パルスの有効性と安全性を評価すること。

方法

フランスの31病院35診療科で行われたこの二重盲検プラセボ対照試験。

IPFの急性増悪を有する成人患者およびIPFの急性増悪が疑われる患者(18歳以上)を、Webベースのシステムを使って1対1でランダムに割り付けた。

  • ランダム割り付けはIPFの重症度に応じて層別化。
  • 除外:人工呼吸器管理、活動性の感染症、活動性の癌、肺移植待機リストに登録されている患者。
治療内容

高用量ステロイド+シクロホスファミド(600mg/m2)を0、15、30、60日目に投与

 VS

高用量ステロイド+プラセボを0、15、30、60日目に投与

主要エンドポイント

3ヵ月間の全死亡

結果

2016年1月22日から2018年7月19日の間に、183名の患者が適格性を評価され、そのうち120名の患者が無作為に割り付けられた。

  • 119名の患者(62名の重症IPF)が少なくとも1回のシクロホスファミド(n=60)またはプラセボ(n=59)を受けた。
  • 全員がintention to treat解析に含まれた。
3カ月間の全死亡率

シクロホスファミド投与群で45%(27/60人)、プラセボ群で31%(18/59人)であった(差14.5%[95%CI -3.1~31.6];p=0.10 )。

  • IPF の重症度で調整しても同様の結果が得られた(オッズ比 [OR] 1.89 [95% CI 0.89-4.04])。
  • 3 ヵ月後の死亡リスク:受けた治療とは無関係に、非重症 IPF より重症 IPF で高く(OR 2.62[1.12-6.12])、抗線維化療法の使用で低くなった(OR 0.33[0.13-0.82])。
有害事象

6カ月後までに両群で同程度であり(シクロホスファミド群42%、プラセボ群51%)、感染症を含むその割合にも差はなかった。感染症は主要な有害事象であり、シクロホスファミド群60例中20例(33%)に発現したのに対し、プラセボ群59例中21例(36%)に発現した。

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