ニンテダニブ(商品名:オフェブ)は様々な疾患で用いられています。特発性肺線維症(IPF)を対象とした試験では、DLCOが低い患者に対しても同様の結果が期待できることが報告されています。
背景
52週間にわたるINPULSIS試験では、FVC(努力肺活量)が50%以上、DLco(肺拡散能力)が30~79%の特発性肺線維症(IPF)患者を対象に、ニンテダニブとプラセボの比較試験が行われた。
24週間のINSTAGE試験では、IPFでDLcoが35%以下の患者を対象に、ニンテダニブ+シルデナフィルとニンテダニブ単独が比較検討された。
INPULSIS試験とINSTAGE試験のデータを用いて、ベースライン時のガス交換障害が少ないIPF患者と多い患者で、ニンテダニブの効果を比較した。
方法
INPULSIS試験とINSTAGE試験でニンテダニブ単独投与を受けた患者とINPULSIS試験でプラセボ投与を受けた患者を対象に解析が行われた。
24週間のFVC低下率、24週間の急性増悪を発症または疑われた患者の割合、24週間の死亡、および有害事象をアウトカムに設定した。
結果
INPULSIS試験では638例、INSTAGE試験では136例の患者がニンテダニブ単独投与を受け、INPULSIS試験では423例の患者がプラセボ投与を受けた。
FVC減少率は、INPULSIS試験およびINSTAGE試験において、ニンテダニブ単独投与群ではそれぞれ-52.3および-66.7mL/24週、INPULSIS試験ではプラセボ投与群では-102.8mL/24週であった(以下図)。
急性増悪は、INPULSISとINSTAGEでニンテダニブ単剤治療を受けた患者のそれぞれ0.6%と3.7%、INPULSISでプラセボ治療を受けた患者の2.1%に報告された。死亡は、これらの群でそれぞれ2.0、11.0、1.9%の患者に発生した。
下痢の有害事象は、INPULSIS および INSTAGE においてニンテダニブ単独投与群の 52.5 および 48.5% で、INPULSIS においてプラセボ投与群の 16.1% で報告された。
<まとめ>
INSTAGE試験とINPULSIS試験のデータに基づき、ニンテダニブは、ガス交換の障害が重い患者(DLCO≤35%)でも24週間のFVC低下に対して同様の効果を示し、安全性と忍容性のプロファイルも同様であった。