特発性肺線維症に逆流性食道炎はどの程度合併するか?

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特発性肺線維症(IPF)の重要な合併症の一つに胃食道逆流症があります。その有病率、症状などの特徴について研究した重要な報告です。なんと合併率は90%にも認めました。

Raghu G, et al. High prevalence of abnormal acid gastro-oesophageal reflux in idiopathic pulmonary fibrosis. Eur Respir J 2006;27:136–42.

目的

特発性肺線維症(IPF)患者における逆流性食道炎(GERD)の有病率と特徴を明らかにすること。

方法

IPF患者65人に対し、24時間pHモニタリングと食道内圧測定を行った。

難治性喘息で逆流性食道炎の症状を有する133名の患者を比較対照とした。

結果

IPF患者におけるGERDの有病率は87%であった。

  • 76%と63%がそれぞれ遠位および近位の食道の酸曝露量に異常を認めた。
  • 酸性GERの異常は、IPF患者では喘息患者(68%)よりも有意に多かった。

IPF患者のうち、GERD症状があったのは47%のみであった。

24時間pHモニタリング中にプロトンポンプ阻害薬(PPI)投与を受けていた患者19人中12人が、標準量のPPIによる治療にもかかわらず、pHプローブによる食道の酸曝露量に異常を認めた。

IPFの重症度とGERDの重症度には相関がなかった。

<まとめ>

特発性肺線維症(IPF)患者では、約90%に逆流性食道炎を認め、約半数が無症状であった。

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