ついに形状認識ロボットが気管支鏡検査で導入されました。かなりの診断率にも思いますが、近い将来、実用化されるのでしょうか。ちなみにデモでは、ファミコンのコントローラーみたいなものを使用して、テレビゲームのように操作していました。
背景
肺病変のサンプリングにおけるガイド付き気管支鏡は急速に発展している。近年,形状認識ロボット気管支鏡(ssRAB: shape-sensing robotic-assisted bronchoscopy)が導入され、従来の生検困難な病変のサンプリングを成功させる手段として注目されている。
研究課題:肺病変を有する患者におけるssRABの実施可能性、診断効果、診断用サンプリングの決定要因、安全性はどのようなものか?
研究デザインと方法
2019年10月から2020年7月の間に米国のがんセンターで実施された131件の連続したssRABのデータを前向きに収集し、後方視的に解析した。
病変の診断の定義は、事前の基準に基づいて行った。手技および病変関連因子と診断の関連性を単変量および多変量一般化線形混合モデルで検討した。
結果
131件のssRAB手技において、合計159の肺病変が対象となった。
- 病変の大きさの中央値は1.8 cm
- 病変の59.1%は上葉
- 66.7%は第6分岐以遠に位置
ナビゲーションの成功率は98.7%、全体の診断率は81.7%であった。
単変量解析では、病変の大きさが1.8 cm以上であること、肺の内側に位置することが、診断と有意に関連していた。多変量モデルでは、病変の位置で調整した場合、1.8 cm以上の病変は1.8 cm未満の病変と比較して有意に診断が可能であった(OR 12.22;95% CI 1.66-90.10)。
原発性胸部悪性腫瘍に対するssRABの感度と陰性的中率は、それぞれ79.8%と72.4%であった。
合併症の発症率は3.0%であり、気胸は1.5%で起こった。
<まとめ>
肺病変のサンプリングにおける形状認識ロボット気管支鏡(ssRAB)の有用性が明らかになり、本研究は診断に関する包括的なエビデンスを提供した最初の研究である。ssRABは優れた安全性と、従来の手技では困難であった肺病変への気管支鏡的アプローチを可能にする大きな技術的進歩である。