日本から全身性強皮症の経過を7年追った研究が報告されました。
目的
日本人の早期(発症から5年未満)のびまん皮膚硬化型全身性強皮症(dcSSc)および間質性肺炎を伴う早期の全身性強皮症の患者の臨床経過を調査すること。
方法
日本人の早期dcSSc150例と間質性肺炎を伴う限局皮膚硬化型全身性強皮症(lcSSc)57例を対象に、10つの医療機関で毎年7年間連続して臨床的特徴を前向きに分析した。
結果
modified Rodnan total skin thickness score(mRSS)の平均値は18.3であり、全体の67.4%が間質性肺炎を有していた。ほとんどの症例が7年間に免疫抑制療法と血管拡張薬を使用していた(それぞれ83.4%と87.9%)。
全患者のmRSSは,初回登録時より1年目以降に有意に低下し(18.3→12.8)、その後も維持していた。しかし、拳の閉鎖、手の伸展、開口など,皮膚硬化に関連する他の身体機能パラメータは,研究期間中にあまり改善されなかった。
%VCは登録時から2年は95%で維持したが、7年の経過で徐々に85%に低下した。
KL-6値は登録時1109.0 U/mlであったが、7年の経過で徐々に831.5 U/mlに低下した。
KL-6値と%VCとは弱い負の相関(相関係数r=-0.29、p<0.05)を、%DLCOとは負の相関(相関係数r=-0.42、p<0.0001)を認めた。
<まとめ>
日本人の早期のdcSScおよび間質性肺炎を有するSScにおいて、mRSS は 7 年間の追跡で継続的に低下したが、身体障害および臓器病変の改善は少なかった。KL-6と肺機能には負の相関がみられた。