自己抗体の測定結果には注意が必要

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間質性肺炎の原因の一つに膠原病がありますが、肺以外の症状がない場合もあり、スクリーニングとして膠原病に伴う自己抗体を測定します。

しかし、どの測定法で行うかがとても重要であり、検査によっては偽陽性、偽陰性の問題があります。今回はその検査に関して言及したとても重要な報告です。

Tansley SL, et al. The reliability of immunoassays to detect autoantibodies in patients with myositis is dependent on autoantibody specificity. Rheumatology 2020;59:2109–14.

目的

筋炎特異的自己抗体および関連自己抗体を同定するための市販されている測定法の信頼性に着目し、2種類の市販されている免疫測定法の結果と免疫沈降法で得られた結果を比較する。

方法

筋炎の自己抗体解析のために受診した患者を対象に、免疫沈降法により自己抗体を調べた。25名の患者の血清について、

  • ラインブロット(Euroline Myositis Antigen Profile 4, EuroImmun, Lübeck, Germany)
  • ドットブロット(D-Tek BlueDiver, Diagnostic Technology, Belrose, NSW, Australia)

により、目的の自己抗体について分析した。

134人の成人健常対照者の血清を分析した。

結果

市販されている測定法は、いずれも全体的に高い一致度(Cohen’s κ >0.8)を示したが、自己抗体によっては一致度が著しく低いものも散見した。特に海外で広く使用されているEUROLINEの結果を以下に提示する。

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(図. EUROLINEの検査精度。文献より引用掲載)

この結果からは、抗MDA5抗体は高い一致度を示していますが、抗Mi2抗体、抗TIF1γ抗体、抗OJ抗体などは結果の解釈に注意が必要のようです。

<まとめ>

EUROLINEでの自己抗体の測定は、偽陽性・偽陰性の可能性を考慮する必要があり、臨床使用に際しては十分な注意が必要である。

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