ラインブロットでの自己抗体測定の限界

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間質性肺炎の原因の一つに膠原病がありますが、肺以外の症状がない場合もあり、スクリーニングとして膠原病に伴う自己抗体を測定します。

しかし、どの測定法で行うかがとても重要であり、検査によっては偽陽性、偽陰性の問題があります。今回はその検査に関して言及したとても重要な日本からの報告です。

Hamaguchi Y, et al. Performance evaluation of a commercial line blot assay system for detection of myositis- and systemic sclerosis-related autoantibodies. Clin Rheumatol 2020;39:3489–97.

目的

ラインブロット(LB)アッセイは、複数の抗核抗体の特異性を同時に検出することができるが、その精度が問題視されている。

研究課題:筋炎や全身性硬化症(SSc)関連の自己抗体を同定するために開発された市販のLBアッセイ(EUROLINE)の性能について評価する。

方法

様々な膠原病患者の血清300検体をLBアッセイでスクリーニングし、筋炎またはSSc関連の自己抗体の結果を、RNAおよび免疫沈降法もしくは間接蛍光抗体法で同定されたものと比較した。

結果

免疫沈降法では、抗Jo-1抗体14名、抗EJ抗体12名、抗PL-7抗体8名、抗PL-12抗体4名、抗Mi-2抗体6名、抗SRP抗体8名、抗トポイソメラーゼⅠ抗体54名、抗RNAポリメラーゼⅢ抗体24名、抗U3RNP抗体9名、抗Th/To抗体9名、抗Ku抗体14名および抗hUBF抗体4名、また間接蛍光抗体法では35名に抗セントロメア抗体を確認した。

免疫沈降法とLBアッセイとの良好な一致は、抗Jo-1抗体抗セントロメア抗体についてのみ認められた。

  • 免疫沈降法の結果と一致するようにカットオフ値を調整したところ、抗EJ抗体、抗PL-7抗体、抗PL-12抗体、抗SRP抗体、抗トポイソメラーゼⅠ抗体、抗RNAポリメラーゼⅢ抗体でLBアッセイの検出能が改善された。
  • しかし、抗Mi-2抗体、抗U3RNP抗体、抗Th/To抗体、抗hUBF抗体、抗Ku抗体の結果は、すべてのカットオフ値において免疫沈降法とLBアッセイの間で不一致のままであった。

<まとめ>

市販のLBアッセイ(EUROLINE)を用いた自己抗体の検出では、抗体によって偽陽性・偽陰性をもたらす可能性があり、その臨床的な使用には十分に注意する必要がある。

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