シェーグレン症候群は、唾液腺炎や涙腺炎を主体とし、様々な自己抗体の出現を伴う原因不明の自己免疫性疾患です。間質性肺炎は重要な臓器病変の一つであり、間質性肺炎合併のシェーグレン症候群は国の指定難病でも重症に分類されています。
シェーグレン症候群の間質性肺炎の合併頻度
日本からの研究ですが、101例のシェーグレン症候群を対象に胸部CT検査を行ったところ32%の患者さんが間質性肺炎を合併していたという報告です。また、画像のパターンのほとんどは、非特異性間質性肺炎(NSIP)パターンでした。
(図. シェーグレン症候群の間質性肺炎の合併頻度。文献より作成)
間質性肺炎合併は経年的に増加
シェーグレン症候群の間質性肺炎の合併頻度は約30%程度といわれていますが、実はシェーグレン症候群の診断時に間質性肺炎を合併していなくても、
- 1年後には10%
- 5年後には20%
- 15年後には43%
の患者さんで間質性肺炎を合併し、経年的に間質性肺炎の合併頻度は増加することが報告されています。
診断時に間質性肺炎の合併がなくても、定期的な経過観察が大切です。
(図. シェーグレン症候群の間質性肺炎合併の経年的な変化。文献より作成)
間質性肺炎合併リスク因子
シェーグレン症候群における間質性肺炎の合併は約30%であり、診断時に間質性肺炎を合併していなくても、のちに間質性肺炎を合併する可能性があります。
間質性肺炎合併のリスク因子には、
- 高齢
- 男性
- 喫煙
- 抗核抗体陽性
- 抗SS-A抗体陽性
- 口唇小唾液腺生検でfocus score高値
などが報告されています。このような方は、より一層、間質性肺炎の合併に注意する必要があります。
Kakugawa T, et al. Lymphocytic focus score is positively related to airway and interstitial lung diseases in primary Sjögren’s syndrome. Respir Med 2018;137:95–102.、Kakugawa T, et al. Lymphocytic focus score is positively related to airway and interstitial lung diseases in primary Sjögren’s syndrome. Respir Med 2018;137:95–102.、Buvry C, et al. Anti-Ro52 antibodies are a risk factor for interstitial lung disease in primary Sjögren syndrome. Respir Med 2020;163:105895.
<まとめ>
シェーグレン症候群における間質性肺炎の合併は約30%であり、診断時に間質性肺炎を合併していなくても、経過中に間質性肺炎を合併する可能性がある。間質性肺炎合併のリスク因子を考慮して、定期的な経過観察が重要である。