2020年に過敏性肺炎の診断のガイドラインが、ATS(アメリカ胸部医学会)、JRS(日本呼吸器学会)、ALAT(ラテンアメリカ胸部医学会)より発表されました。
診断のアルゴリズム
このガイドラインのアルゴリズムは、以下の4項目から構成されています。
- 抗原曝露の有無、特異的IgG抗体
- 胸部HRCTの画像所見
- 気管支肺胞洗浄(BAL)のリンパ球分画上昇
- 肺病理所見
(図. 診断アルゴリズム 文献より引用)
これら4項目を組み合わせて、診断の確からしさ(確信度)を判断し分類します。
診断の確信度
診断の確信度は5段階からなり、それぞれ
- definite diagnosis:診断確信度90%以上
- high-confidence diagnosis:診断確信度は80-89%
- moderate-confidence diagnosis:診断確信度は70-79%
- low-confidence diagnosis: 診断確信度は51-69%
- not excluded:除外困難
に分類されます。
症例の具体的な使用方法
たとえば、線維化性過敏性肺炎の疑いで来院した患者が、
- 明確な抗原曝露があり
- 画像HRCTでcompatible with HPの所見
- BALはリンパ球分画が10%
- 肺病理所見ではprobable HPの所見
であれば、上記アルゴリズムを用いたガイドライン診断は、線維化性過敏性肺炎、high confidence(診断確信度は80-89%)となります。
今回のガイドラインで提案された分類として、
- 線維化性過敏性肺炎
- 非線維化性過敏性肺炎
という新たな用語が設定されていますので、この点においても注意が必要です。様々な議論がなされるこのガイドラインですが、これまで国際的に統一された診断基準がなかった過敏性肺炎において、新たな一歩になると思います。
(最終アップデート:2021年12月11日)