全身性強皮症に対するトシリズマブの長期データ(focusSSced試験の長期観察データ)

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全身性強皮症(SScに対するトシリズマブ(商品名:アクテムラ)の効果を示した重要な臨床試験であるfocuSSced試験が報告されましたが、その後の96週まで観察した長期データが報告されました。

Khanna D, et al. Long-Term Safety and Efficacy of Tocilizumab in Early Systemic Sclerosis-Interstitial Lung Disease: Open Label Extension of a Phase 3 Randomized Controlled Trial. Am J Respir Crit Care Med 2021.

 

試験の概要

48週のfocuSSced試験後、プラセボ群はトシリズマブ群に移行が可能で、96週までのmRSSとFVCの経過をフォローした(プラセボ→トシリズマブ群 vs トシリズマブ継続群)。mRSSは両群で差はなかったが、FVCは96週時点まで低下せず維持できていた。

 

212名のSScのうち、プラセボ→トシリズマブ群の82名、トシリズマブ継続群の85名が96週の試験を完了した(SSc-ILDは104名)。

 

modified Rodnan skin score(mRSS)の変化

全患者において、48週から96週にかけての両群のmRSS(SScにおける皮膚硬化の評価指標)の変化(平均値)。

  • プラセボ→トシリズマブ群:–2.5 (–3.3, 1.6) 
  • トシリズマブ継続群:–2.3 (–3.2, –1.5) 

 

努力肺活量(FVC)の変化

SSc-ILDにおいて、48週から96週にかけての両群のFVCの変化(平均値)。

  • プラセボ→トシリズマブ群:FVC +39.6ml (%FVC +0.9%)
  • トシリズマブ継続群:FVC -15.3ml (%FVC -0.4%) 

 

肺拡散能力(DLCO)の変化

SSc-ILDにおいて、48週から96週にかけての両群のDLCOの変化(平均値)。

  • プラセボ→トシリズマブ群:%DLCO -3.8%
  • トシリズマブ継続群:%DLCO +1.6%

 

 

<まとめ>

SSc-ILDに対するトシリズマブは96週まで肺機能(FVC、DLCO)を維持できており、長期的に有効である可能性が示された。

 

膠原病に伴う間質性肺疾患 診断・治療指針〈2020〉

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