ANCA関連血管炎(AAV; ANCA associated vasculitis)は国ごとに、地域性があることが報告されています。
このレビューにも引用されている日本とイギリスのANCA関連血管炎の違いを調査した重要な研究が2011年に報告されています。
用語一覧
- 顕微鏡的多発血管炎 (Microscopic Polyangitis; MPA)
- 多発血管炎性肉芽腫症(Granulomatosis with Polyangitis; GPA)
- 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(Eosinophilic Granulomatosis with Polyangitis; EGPA)
日本とイギリスのANCA陽性率の違い
- 日本のANCA陽性率
- pANCA 84%、cANCA 7%、陰性 9%
- イギリスのANCA陽性率
- pANCA 30%、cANCA 58%、陰性 12%
日本とイギリスのANCA関連血管炎の病型の違い(100万人あたり年間発症率)
- 日本
- 15歳以上の成人 :MPA 18.2人、GPA 2.1人、EGPA 2.4人
- 65歳以上の高齢者:MPA 50.7人、GPA 2.7人
- 15-64歳と比較すると65歳以上のANCA関連血管炎の発症率は約10倍
- イギリス
- 15歳以上の成人 :MPA 6.5人、GPA 14.3人、EGPA 0.9人
- 65歳以上の高齢者:MPA 20.8人、GPA 25.0人
- 15-64歳と比較すると65歳以上のANCA関連血管炎の発症率は約10倍
日本とイギリスの臓器合併症の頻度
- 日本
- 肺病変合併率はANCA関連血管炎の43%
- MPAでは36%、GPAでは38%
- 肺病変合併率はANCA関連血管炎の43%
- イギリス
- 肺病変合併率はANCA関連血管炎の78%
- MPAでは60%、GPAでは85%
- 肺病変合併率はANCA関連血管炎の78%
<まとめ>
日本とイギリスのANCA関連血管炎の違いが明らかとなった。日本では、ANCA関連血管炎のうち約80%でpANCA陽性であった。病型別でも約80%がMPAであり、高齢者ではその傾向が顕著でほとんどがMPAである。ANCA関連血管炎の肺病変合併は全体の約40%で認め、MPAとGPAでも肺病変合併は約40%で同等であった。