強皮症や混合性結合組織病に伴う間質性肺炎:バイオマーカーとしてのKL-6

全身性強皮症に伴う間質性肺炎で、KL-6が1273 U/mlを超えると間質性肺炎が進行する危険性があることは報告されました。

その他にも、全身性強皮症(Systemic sclerosis; SSc)もしくは混合性結合組織病(Mixed Connective Tissue Disease; MCTD)に伴う間質性肺炎の患者40例を対象とし、KL-6と疾患進行の関係を研究した報告があります。

Yamakawa H, et al. Serum KL-6 and surfactant protein-D as monitoring and predictive markers of interstitial lung disease in patients with systemic sclerosis and mixed connective tissue disease. J Thorac Dis 2017;9:362–71.

この研究の患者背景は以下の通りです。

  • 全身性強皮症が29例、混合性結合組織病が11例
  • 女性が85%
  • 平均年齢はおよそ62歳
  • 努力肺活量(FVC)が84%程度、肺拡散能力(DLCO)が69%程度
  • KL-6が1270 U/ml程度
  • 胸部CT:UIP様 3例、NSIP様 32例、分類不能5例
  • 肺病理:UIP 1例、fNSIP18例、分類不能 6例

<結果>

初診時の比較では、KL-6の値と努力肺活量(FVC)の間には相関関係はなく(A)、肺拡散能力(DLCO)胸部CTで病変の広がりとも弱い相関に留まりました(BとC)。

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しかし、観察期間の中央値が1.9年でみると、経時的なKL-6の変化と努力肺活量(FVC)の変化の間にはやや強い負の相関(r=-0.587)がみられたようです。

(ただし、経過をフォローできた症例は20例で散布図は下図の通りで、その解釈には注意が必要です)

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筆者らは、全身性強皮症もしくは混合性結合組織病に伴う間質性肺炎において、KL-6は間質性肺炎の経過を反映する有用なバイオマーカーであると提案しています。この結果の検証にはさらに大多数、多施設での検討が必要です。

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