強皮症に伴う間質性肺炎における肺機能と健康関連QOL(2022年Rheumatology)

全身性強皮症に伴う間質性肺炎において、肺機能と健康関連QOLの関係に関する研究結果が報告されました。

Kreuter M, et al. Impact of lung function and baseline clinical characteristics on patient-reported outcome measures in systemic sclerosis-associated interstitial lung disease. Rheumatology 2022.

強皮症に伴う間質性肺炎の患者さんは、肺活量が70%未満だと健康関連QOLが悪く、肺活量が低下すると健康関連QOLも悪化するようです。

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

目的

SENSCIS®試験では、ニンテダニブを投与された全身性強皮症(SSc)関連間質性肺疾患(SSc-ILD)患者の肺機能低下の有意な減少が示されたが、健康関連QOL(HRQoL)には有意な効果はなかった。SSc/SSc-ILDの重症度と肺機能の大きな変化がHRQoLと相関するかどうかを評価するため、治療群を集約したSENSCIS®のポストホック解析が行われた。

方法

ベースラインと52週目の患者報告アウトカム(PRO)指標(St. George’s Respiratory Questionnaire[SGRQ]、Functional Assessment of Chronic Illness Therapy[FACIT]-Dyspnoea、Scleroderma Health Assessment Questionnaire visual analogue scale[SHAQ VAS]を組み込んだ健康評価アンケート-障害指数[HAQ])についてSSc-ILD重症度と関連があるか検討された。

結果

ベースラインと52週目において、努力肺活量(FVC)70%未満は、FVC70%以上と比較してPRO指標スコアの悪化と関連していた(52週目:SGRQ 45.1 vs 34.0 [p< 0.0001]; FACIT-呼吸困難 48.9 vs 44.5 [p< 0.0001]; HAQ-DI 0.7 vs 0.6 [p< 0.0228]; SHAQ VAS呼吸困難 3.6 vs 2.6 [p< 0.0001] )。

びまん性皮膚硬化型SScおよびSSc-ILDの重症度と関連する他の特徴を有する患者は、PRO指標のスコアが悪化した。
ベースラインで酸素吸入を必要とした患者、またはHRCTで30%以上の線維化が見られた患者は、52週目のPRO測定スコアが悪化した。

1年後、FVCが大きく(10%以上)改善/悪化した患者は、SGRQおよびその他のPRO指標で対応する改善/悪化を示し、SGRQsymptomスコアで有意であった(p<0.001)。

結論

重症のSSc-ILDと肺機能の悪化はHRQoLに重要な影響を与える。肺機能の低下を遅らせ、重症のSSc-ILDを予防する治療がHRQoLを維持するために重要である。

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