上葉優位型間質性肺炎(PPFE)の解析(2021日本)

間質性肺炎の画像を見ると、肺尖部に胸膜から延びるような上葉優位型間質性肺炎(PPFE)所見を認めることがあります。日本からこのPPFEに関する研究結果が報告されました。
Oda T, Sekine A, Tabata E, Iwasawa T, Takemura T, Ogura T. Comparison of Clinical Characteristics and Outcomes between Idiopathic and Secondary Pleuroparenchymal Fibroelastosis. J Clin Med Res 2021;10.

上葉優位型間質性肺炎(PPFE)は特発性(原因不明)と二次性に分類され、特発性では肺底部のUIPパターンがあると予後不良ですが、二次性ではUIPの有無で予後に差はないようです。

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

上葉優位型間質性肺炎(PPFE)は、独特の臨床、放射線、組織病理学的特性を持つ。最近、いくつかの潜在的な原因が報告されている。しかし、二次性PPFEに関する包括的な研究は存在しない。

目的:二次性および特発性PPFEの臨床的特徴、転帰、予後因子の評価。

方法

1999年1月から2018年12月までのPPFEの連続症例を医療記録を用いて後方視的にレビューした。
特発性PPFE患者132人と二次性PPFE患者32人を特定し解析した。

図. 文献より引用転載

結果

下葉での通常型間質性肺炎(UIP)パターンと異なる間質性肺疾患(ILD)パターンの発生率は、二次性PPFE患者(38.5%)で特発性PPFE患者(61.5%、p = 0.02)よりも高かった。
特発性および二次性PPFE群は、検査所見、呼吸器合併症、生存(中央値:5.0年対4.1年、p = 0.95)において有意な違いはなかった。
多変量解析でUIPパターンの存在は、特発性PPFE患者では予後不良な因子であったが、二次性PPFE患者ではそうではなかった。

結論

UIPパターンの頻度と予後への影響は、特発性と二次性PPFE患者とで異なっていた。
DLCOが低い二次性PPFE患者では、下葉ILDパターンに関係なく、肺移植を検討する必要がある。

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