農夫肺の画像的特徴(2000年ERJ)

農夫肺の画像的特徴を解析した重要な研究が2000年に報告されています。
Cormier Y, Brown M, Worthy S, Racine G, Müller NL. High-resolution computed tomographic characteristics in acute farmer’s lung and in its follow-up. Eur Respir J 2000;16:56–60.

過敏性肺炎(HP)の代表的なタイプである農夫肺のHRCTでは、急性期や曝露中の症例では、主に下葉のすりガラス影が最も多く、その他の画像所見は特徴的な分布はありませんでした。また、気腫性変化が多く、曝露を回避することで画像の改善が得られるようです。

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

過敏性肺炎の一つである農夫肺(farmer’s lung)のHRCT所見を解析した研究

農夫肺 95例
 急性期20例、既往75例(曝露中(Ex +)(酪農家)48例、曝露回避後(Ex-)27例)

すべてのHRCTスキャンは、カテゴリーを盲検化した放射線科医2名、必要であれば3名が独立して読影した。
肺を6領域(5葉+舌区)に分け、attenuation/mosaic, ground-glass, micronodules, fibrosis, and emphysemaを読影した。
各領域と各変数について、0~3のスコア化: 0=存在しない、1=表面の25%未満、2=25~50%、3=>50%

結果
下葉に好発するground-glassは、急性期およびEx+症例で最も頻度の高い特徴であった。
その他の異常は優先的な分布はなかった。

Ex+はEx-に比べground-glassが多かった(p=0.0025)。
間質の線維化よりも肺気腫の方が多く見られた(p=0.004)。
縦隔リンパ節腫脹は26例(急性9例、Ex+10例、Ex-7例)。

結論
農夫肺では以下の画像的特徴を認める
1)下葉でground-glassが優勢である一方、他の異常は解剖学的優位性を持たない
2)曝露継続例より抗原回避例でCT異常所見の改善が可能
3)間質の線維化よりも肺気腫がより頻繁に認める
4)縦隔リンパ節の存在は診断を否定するものではない

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