間質性肺炎の検査項目の一つにKL-6があります。この有用性について様々な報告がありますが、全身性強皮症でも有用な検査である可能性が指摘されています。
強皮症に伴う間質性肺炎では、KL-6が1273 U/mlを超えると間質性肺炎が悪化する可能性があります。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
2016年に全身性強皮症に伴う間質性肺炎(SSc-ILD)の患者50例を対象にした研究が日本から報告されました。
この研究では全身性強皮症が未治療かつ10年以上の観察期間が得られたものもしくは間質性肺炎で死亡した症例を対象としています。
患者背景は以下の通りです。
- 間質性肺炎合併あり
- びまん皮膚硬化型が24例、限局皮膚硬化型が26例
- 女性が92%
- 平均年齢はおよそ44歳
- 努力肺活量(FVC)が84%程度、肺拡散能力(DLCO)が56%程度
- KL-6が1170 U/ml程度
14.5年の観察期間に、最終的に間質性肺炎が進行した(endstage lung disease)症例は16例(32%)で、初診時のKL-6の上昇が間質性肺炎の進行と関係していた。
- 16例のうち8例が努力肺活量が50%未満、8例が在宅酸素療法を施行
ROC曲線を用いた解析では、間質性肺炎の進行と関連があるKL-6のカットオフ値は1273 U/mであり、初診時のKL-6の値がこの1273 U/mlを超える症例は、有意に間質性肺炎の進行と関連があった(オッズ比51.2)。