間質性肺炎の診察で重要な身体所見の一つにばち指があります。指先が太鼓のばちのように丸く太く変化している所見です。
ばち指は慢性の経過を示す所見であり、間質性肺炎や肺癌、気管支拡張症などで認めます。
2015年に日本の多施設で行われたレジストリー研究では、間質性肺炎では全体の約30%にばち指を認め、特に特発性肺線維症では3人に1人の割合で確認できました。Bando M, et al. Respir Investig 2015;53:51–9.
また、COPD単独ではまれであり、COPDの患者でばち指を認めたら肺癌を疑うこともポイントです。
ばち指の診察では、以下の3点がとても重要です。
①爪の根元の角度
上の図をご覧ください。通常は爪の根元(abc)の角度は160度未満、英語の「V」のようになります。しかし、ばち指の場合は、この角度が180度以上、つまりは英語の「V」ではなく日本語の「へ」のような形になります。
②第1関節と第2関節の太さ
上の図をご覧ください。通常は指の第一関節は第二関節より細くなります。しかし、ばち指の場合は、第一関節のほうが第二関節より太いのが特徴です。
③Schamroth Sign(シャムロス徴候)
さらにもう一点として簡便なのがいわゆるSchamroth Sign(シャムロス徴候)といわれる診察です。
上の図をご覧ください。通常は人差し指通しを図のように合わせるとダイヤモンドのような隙間ができます。しかし、ばち指の方は隙間はできません。
これらの3つのポイントを意識して、ばち指の診察は行っています。どれか一つでも覚えておくと、診察の際には大変役立ちますのでオススメです。
Yap FY, et al. Hypertrophic Osteoarthropathy: Clinical and Imaging Features. Radiographics 2017;37:157–95.