この記事では、間質性肺炎についての基本的な情報をまとめまています。
とても難しい病気ではありますが、なるべくわかりやすく説明しますので、ぜひご覧ください。ちょっと長いですが、下のもくじから少しずつご覧いただけましたら嬉しく思います。
間質性肺炎の概論
○○肺炎とは?
〇〇肺炎といっても、実はいろいろ種類があります。
例えば「誤嚥性肺炎」。
よく食事の際に、ごほごほむせて起こすのが誤嚥性肺炎です。高齢者や寝たきりの方が起こしやすく、食事やつばなどの誤嚥したものが肺に入り、肺炎を起こします。
また、一般的に肺炎というと「細菌性肺炎」を指すことが多いかと思います。
症状は、急な発熱や強い倦怠感を自覚し、食欲が低下します。痰の色は黄色や緑色でどろっとしていることが多いですが、菌によっては痰がない場合もあります。どこからか細菌(いわゆるばい菌)が肺に入って、肺炎を起こします。
それでは「間質性肺炎」とは、、、
もちろん、名前の通り「間質」に原因がある肺炎です。
多くの間質性肺炎は熱もなく、慢性的な咳や息切れといったあまり特徴的でない症状が特徴の肺炎です。レントゲンをとってもはっきりせず、いったんは咳止めで様子をみることも多いと思います。
しかし、何らかの理由で間質に炎症が起こり、間質性肺炎の種類によっては肺が次第に硬くなり(線維化)、ついには不可逆性に悪化してしまう方もいます。
間質性肺炎の間質とは?
肺は酸素を吸って、二酸化炭素を出すという体にとって大切な呼吸をする場所です。これを支えるのが間質です。家の外壁みたいなイメージで、絵にかくとこのようなイメージです。
吸った空気が肺に流れ込み、気管支を通り、最終的に行き着く先が肺胞という場所です。流れ着いた肺胞と血管との間で、酸素と二酸化炭素の交換が起こります。
血管の中に酸素を取り込んで、二酸化炭素を出す。その肺胞と血管の間の「壁」のようなもの、これが間質です。
間質性肺炎は、実は、ここに異常がある病気の総称です。
肺が硬くなる?肺の線維化?
間質性肺炎の間質とは、酸素と二酸化炭素を交換する場所、肺と血管の壁のようなものであることがわかりました。多くの間質性肺炎では、この壁が厚くなり、硬くなり、肺全体ががちがちに硬くなってしまうことが多いのが特徴です。
元来、肺はスポンジのように軟らかいのですが、この間質性肺炎が進行すると肺ががちがちに硬くなってしまいます。
通常であれば呼吸をする際には肺を広げて酸素を取込みますが、肺が硬いと肺が十分に広がらず、咳がでたり、特に多くの酸素を必要とする作業時や運動時などに、肺が十分に広がらず息切れの症状が出現します。
この肺が硬くなることを、専門的には肺の線維化といい、進行すると、典型的には乾いた咳や、労作時(動いた時の)息切れを特徴とした症状が出現します。
肺はとても美しい構造をしています。以下のリンクに実体顕微鏡写真、標本エックス線像、気管支造影写真を紹介していますので、ぜひ一度ご覧ください。
間質性肺炎の原因
間質性肺炎には大きな分類として、「原因が判明しているもの」と「原因が不明のもの」の2つに大別されます。
間質性肺炎の原因には、
- たばこ
- 薬、サプリメント、健康食品、漢方
- 周囲の環境
- 膠原病、血管炎
- サルコイドーシス
など、様々なものが報告されています。
膠原病というのは、関節リウマチや皮膚筋炎、全身性強皮症などが含まれます。漢方やサプリメントが原因となったり、新しく始めた薬剤や抗がん剤なども原因となったりします。粉塵や環境、さらにはトリも原因となることがわかっています。最近では、新型コロナウイルス感染症でも間質性肺炎を起こすことが報告されています。
間質性肺炎の診療では、これらの原因を詳しく調べますが、それでも原因がわからないことはあります。これら原因不明の間質性肺炎を、医学的には「特発性」と名前を付けて、特発性間質性肺炎と呼んでいます。
いったいなにが原因で、どんなことが間質に起こっているのか。診断、今後の進行度合い、治療方法、治療効果の予測など考える上で、とても重要な問題です。間質性肺炎ではまず原因や病態を詳しく調べるため、多くの時間をかけて問診と診察、そして様々な検査を提案します。
間質性肺炎の主な症状
間質性肺炎の主な症状は、乾いた咳や労作時の息切れが特徴です。また、まったく症状がなく、検診などで偶然に発見されることもあります。
症状の経過も重要で、1か月以内にどんどん悪化する急性の場合もあれば、3-6か月以上のゆっくりとした慢性的な経過で症状が持続することもあります。
咳
間質性肺炎の咳は、難治性で長く続く(遷延する)ことが多く、深呼吸や体を動かすことなどで誘発されやすいことが知られています。しつこく悩ましい咳で、咳が強い場合には咳止めの薬(鎮咳薬)を使用します。
しかし、鎮咳薬ではなかなか咳をとめることが難しい場合も多く、長くつきあっていく必要があります。
動いた時の息切れ
間質性肺炎では特に、動いた時の息切れが特徴です。間質性肺炎の初期では、安静にしていても息切れはでないことが多いので注意が必要です。次第に間質性肺炎が進行すると、労作時の息切れが出現します。息切れは進行性で、重症になると息切れのために外出が日常生活に支障がでる場合もあります。
修正MRC息切れスケール質問票
息切れの把握には、様々な問診表がありますが、特に修正MRC息切れスケール質問票という質問票を参考にすることは多いです。この質問票はグレード(Gr)0から4の5段階の評価で症状を表しています(以下)。
- Gr0:激しい運動をしたときだけ息切れがある。
- Gr1:平坦な道を早足で歩く、あるいは緩やかな上り坂を歩くときに息切れがある。
- Gr2:息切れがあるので、同年代の人より平坦な道を歩くのが遅い、あるいは平坦な道を自分のペースで歩いているとき、息切れのために立ち止まることがある。
- Gr3:平坦な道を約 100m、あるいは数分歩くと息切れのために立ち止まる。
- Gr4:息切れがひどく家から出られない、あるいは衣服の着替えをするときにも息切れがある。
この修正MRC息切れスケール問診表は、特に特発性肺線維症では重要な予後因子として知られています。
間質性肺炎の問診と診察
間質性肺炎の原因を探すため、重症度を確認するため、問診や身体診察、その他たくさんの検査を行います。
問診
まず何よりも、大切なのが問診です。間質性肺炎の典型的な症状は咳や労作時の息切れです。咳や労作時の息切れが
- いつから?
- どのぐらいの早さですすむか?
- どの程度の強さか?
- なにかきっかけは?
などを伺います。他には一般的な問診として、
- たばこは吸っていませんか?(喫煙歴)
- これまではどのような病気にかかりましたか?(既往歴)
- お薬はどんなものを使っていますか?(内服歴)
- アレルギーはありませんか?(アレルギー歴)
- 家族になにか病気をお持ちの方はいませんか?(家族歴)
さらには、
- 自宅はどんなおうちですか?木造ですか?一軒家ですか?築何年ですか?自宅周りの環境はどうですか?
- 自宅にカビはありませんか?風通しはいいですか?
- 加湿器やエアコンは使っていますか?しっかり掃除していますか?
- 仕事はなにをされていますか?粉塵の曝露はありませんか?
- トリは飼ったことはありませんか?羽毛布団や羽毛のダウンジャケットは使っていませんか?
- 漢方や健康食品は使っていませんか?
このようなことを時間をかけて伺います。
また、膠原病の特徴的な問診として、
- 冬や冷たい水で手が真っ白にならないか(レイノー現象)
- 朝に関節がこわばって動かしにくいことがないか
- 日焼けで肌が真っ赤にならないか(光線過敏)
- 眼や口は乾燥しやすくないか
なども伺います。特に手が真っ白になる方は、レイノー現象の可能性もありますので、その時の写真を撮って見せていただけると大変判断がしやすくなります。
よく「こんなことが関係あるんですか?」と言われますが、実はとても大切な問診事項です。
身体診察
聴診
多くの間質性肺炎は、一番下の肺の背中側に影が出てきます。聴診では、背中の真ん中ぐらいのところに聴診器をあてると、吸気の最後のほうで「パリッ!!」と音が聞こえます。
捻髪音といいますが、吸気の最後にかけてクレッシェンドに音が強くなるのが特徴です。医学的には「fine crackles」と記載します。
実は、胸から聴診器をあててもあまり音は聞こえません。背中というのが重要です。
レントゲンで影がわかりづらくても、背中の音だけはしっかり聞こえる、ということもありますので、間質性肺炎を疑う場合にはしっかり聴診することが重要です。
ばち指
指先が太鼓のばちのように丸く太く変化してくることも間質性肺炎の特徴です。爪の根元が膨らんで、へこみがなくなります。ばち指に関しては、こちらの記事でまとめていますので、診察方法など詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
膠原病に伴う全身症状
間質性肺炎の原因には、膠原病が関与していることがあります。膠原病の診断には、頭部から足先まで、全身の診察が必要です。
- 口の中に潰瘍がないか、口がしっかり開いて乾燥していないか
- 関節に痛みや腫れはないか
- 筋肉は痛みなく筋力は保たれているか
- 皮膚は硬くないか、皮疹はないか
などしっかり診察します。
特に爪の所見も大切です。微小な血管の破綻や出血がないか、ダーモスコープという高性能な虫眼鏡みたいなもので診察します。特に強皮症や皮膚筋炎の診断に有用といわれています。
間質性肺炎の検査
血液検査
間質性肺炎では、一般的な血液検査に加えて、特殊な項目を血液検査で調べます。例えば、KL-6やSP-Dが有名です。KL-6に関しては以下の記事にまとめていますので一度ご覧ください
他には、膠原病や血管炎、環境の関与を調べるために以下のような項目も調べます。
- 抗核抗体
- 抗〇〇抗体(抗ARS抗体、抗CCP抗体、抗セントロメア抗体、、、)
- ANCA(アンカ)
- 抗トリコスポロン・アサヒ抗体
- トリに対する抗IgG抗体
特に抗核抗体や自己抗体は、膠原病の分類基準を満たさなくても、血液検査だけ陽性ということはよくありますので注意が必要です。
例えば関節リウマチに特徴的な関節痛がなくても、血液検査だけで関節リウマチに特徴的な値が上がっているような場合があります。ANCAに関してはこちらの記事もご覧ください。
これらの検査は間質性肺炎の原因検索や治療方針の選択に大きく関わってきますので、初回だけでなく定期的にしっかり調べることが大切です。
動脈血液ガス検査
普段の採血は静脈から行っていますが、動脈血液ガス検査は、体の動脈から採血を行います。動脈から採血することで、血液中の酸素の状態や酸と塩基のバランス(pH:ペーハー)などが良くわかりますので、呼吸器領域ではとても大切な検査の一つです。
特に、特発性間質性肺炎では、動脈血の酸素濃度は重症度分類の項目の一つとしても用いられています。特発性間質性肺炎の重症度分類に関しては、こちらの記事もご覧ください▼
動脈血の採血を行う部位は、主に橈骨動脈や大腿動脈が選択されます。(そのほかに上腕動脈で行うこともあります。)橈骨動脈は、手首あたりの掌側かつ親指側に拍動が触れる動脈です。このようにドラマなどで脈拍を測るところをみるかもしれません▼▼▼
大腿動脈は、足の付け根(鼠径部)に拍動が触れる動脈です。台の上に横になっている状態で、左右どちらかの鼠径から動脈を探して採血を行います。
さらに、強い疼痛を伴うことがありますし、神経が近くを通っているために穿刺により神経を傷つけてしまうこともあります。
動脈血液ガス検査は、静脈から行う血液検査よりも合併症が多い検査ですが、とても重要な検査で、呼吸器領域では必須ともいえる検査であるため、合併症には特に注意して検査を行っています。
画像検査
間質性肺炎の診療では頻回に胸部レントゲン写真や胸部CT写真を撮影しています。
胸部レントゲン写真
毎年検診で撮影されている胸部レントゲン写真ですが、間質性肺炎の外来では、ほぼ毎回撮影しています。
- 間質性肺炎が進行していないか
- 新たに肺炎を合併していないか
- 気胸や縦郭気腫が起こっていないか
- 急性増悪が起こっていないか
このような項目に着目して検査を依頼してます。症状や聴診だけではとらえきれない変化を確認するために極めて重要な検査です。
胸部CT検査
胸部CT検査は、定期的な評価やレントゲンより正確に肺を評価するために行います。特に間質性肺炎では、胸部高分解能CT(HRCT=high-resolution computed tomography)を用いることで、肺の構造をより詳しくみることができるようになりました。
- 実際には、0.5~1.0mmの細かなスライス厚で撮像することで、微細な構造がよくわかります。
- 間質性肺炎では、二次小葉という範囲を一つの単位として病態を考えることが多く、その病理学的構造などの類推に極めて重要です。
例えば、特発性肺線維症(IPF)などではこのようなUIPパターンという特徴的な画像を認めます。
また通常は吸気のみ(息をすったとき)の撮像ですが、呼気時(息を吐いたとき)のCTが重要な場合があります。
代表的には過敏性肺炎という、環境やトリなどの有機物が原因となる間質性肺炎では、呼気時のCTを撮像することで診断の助けとなる所見が得られることがあります。
胸部レントゲン写真は簡便に肺の状態を確認できます。胸部CTは胸部レントゲン写真ではとらえられないような、肺の微細な変化を確認できます。どちらも呼吸器内科の診療では欠かせない検査です。
肺機能検査
間質性肺炎の検査の中でも、重症度や進行具合を確認する上で、肺機能検査は必須です。特に肺機能検査の中でも
- 努力肺活量(FVC; forced vital capacity)
- 肺拡散能力(DLCO; diffusing capacity of the lung for carbon monoxide)
は特に重要です。
努力肺活量(FVC; forced vital capacity)は、目一杯息を吸って、それを全て吐ききった時の息の量です。つまり限界まで頑張ったときの最大の肺活量を指します。
「息を吸って吸って吸ってー、もっと吸って!」
→「吐いて吐いて吐いてー、全部吐いて!もっと吐いて!!」
という感じで検査技師さんの掛け声に合わせて行う検査です。予測値の80%(%FVC≥80%)までが正常と言われています。
肺拡散能力(DLCO; diffusing capacity of the lung for carbon monoxide)は、肺に届いた酸素がどのくらい血液に取り込まれるか(=利用できるか)を調べる検査です。
「息を吸って、もっと吸って吸って!はい止めて!!!」
→「限界まで我慢!!!、、、はい!吐いてー!!!」
という感じでとても大変な検査です。経験のあるかたはわかるかもしれませんが、この検査は本当に大変です。検査時間もだいたい1時間近くかかります。予測値の80%(%DLCO≥80%)までが正常と言われています。
努力肺活量や肺拡散能力の絶対値や、経過でどのくらい低下するかで重症度や進行具合を測ります。
特に、最近では慢性の経過で線維化をきたすような間質性肺炎において、進行性に悪化する一群が注目されています。さらには2020年にはこの「進行性線維化を伴う間質性疾患(PF-ILD)」に対して抗線維化薬であるニンテダニブ(商品名:オフェブ)が保険収載されました。
PF-ILDについての詳細は以下記事をご覧ください。
6分間歩行試験
間質性肺炎の検査の中に、6分間歩行試験という検査があります。
文字通り6分間歩いていただき、その歩行距離と酸素の状態を調べる検査です。
- 患者さんには6分間にできるだけ長い距離を歩いていただきます。
- 30mぐらいの平坦な道で検査を行い、その道を行ったり来たり、何往復もしていただきます。
- 歩くスピードは、やや早歩きで、ちょっと息が弾むぐらいなイメージです。
この検査は時間がかかり場所の準備や患者負担も多い検査ですが、
- 日常生活においてどの程度運動能力が障害されているのか
- 重症度はどの程度か
- 薬の効果判定
- 酸素吸入が必要かどうか
- すでに酸素吸入されている方はその酸素吸入量が適切かどうか
などの指標として用いられるとても大切な検査です。
検査中は指にこのようなパルスオキシメーターという機器を装着して、酸素の状態を調べます。特に、特発性間質性肺炎の日本の重症度分類では、この6分間歩行試験の酸素の値(SpO2)が90%未満であれば、より重症とみなされます。なかなか外来で行うには大変な検査ですが、間質性肺炎の状態や重症度を測るうえでは極めて重要な検査です。
気管支鏡検査
間質性肺炎の検査の中でも、大変な検査の一つが気管支鏡検査です。日帰りもしくは一泊二日入院で気管支鏡検査の予定を組み、
- 気管支肺胞洗浄(BAL)
- 経気管支肺生検(TBLB)
などを行います。
検査時間は通常30分ぐらいです。検査の負担を減らすため、のどに局所麻酔薬を噴霧して麻酔をし、また検査中は鎮静剤や麻薬を使用します。
以前までは、かなりつらい検査でしたが、最近では鎮静剤などの投与も随分とよくなりだいぶ楽にできるようになりました。
「ずっと眠ってました」、「いつ終わったかわかりませんでした」
と言っていただく患者さんも多くなりました。
BALは「バル」と呼んでいます。
気管支鏡から生理食塩水を150-200ml程度肺に撒布して、それを回収することで、肺にどのような細胞がいるかを調べる検査です。
主に間質性肺炎の病態や感染の有無を把握する検査で、リンパ球や好酸球、好中球などの割合で病態を判断します。
TBLBは気管支鏡の先端から鉗子を出して、肺の一部を採取する(=生検)検査です。
生検した肺の組織を見ることで、さらに間質性肺炎の病態が把握可能です。
特に、最近ではクライオプローブを用いた生検(クライオバイオプシー、TBLC)が広まりつつあります。
このようなクライオプローベを用いて、肺を凍結させて生検することで、これまでのTBLBよりも大きな組織を採取でき、間質性肺炎の病態をTBLBよりもしっかり把握できるようになりました。TBLCは「クライオバイオプシー」と呼んでいます。実際に行っている写真(透視像)は以下の通りです。
検査の合併症は、肺炎や気胸、出血、急性増悪など様々ありますが、検査の有用性が勝ると判断した場合には気管支鏡検査を提案させていただいています。
ビデオ補助胸腔鏡手術(VATS)
間質性肺炎の検査の中でも、最も侵襲の大きな検査の一つがビデオ補助胸腔鏡手術(VATS)です。その名の通り手術で肺の生検を行います。
治療ではなく検査のための手術であり、しっかりとした説明とご理解が重要です。しかし従来から間質性肺炎の診断ではとても重要な検査でもあり、我々も適応があると判断した場合には、ご説明しております。
これまでに説明した①経気管支肺生検(TBLB)、②クライオバイオプシー(TBLC)、③ビデオ補助胸腔鏡手術(VATS)の大きさは比較すると以下の通りです。
経気管支肺生検(TBLB)では組織量が少なく診断が困難であり、間質性肺炎の診断ではビデオ補助胸腔鏡手術(VATS)が主流でした。
しかし、最近では気管支鏡検査でTBLBより大きな組織を採取可能な①クライオバイオプシー(TBLC)が用いられることが多くなりました。ただし、クライオバイオプシー(TBLC)にも限界がありますので、ビデオ補助胸腔鏡手術(VATS)との情報量は全く異なりますので、その解釈には注意が必要です。
間質性肺炎の診断までの流れ
間質性肺炎の患者さんの受診動機は様々です。
- 検診で肺の異常陰影を指摘されて受診
- 咳や息切れの症状で受診
- 膠原病などの診断がついて詳しく調べると間質性肺炎が合併
- 腹部CTなどの検査で偶然に発見
間質性肺炎があると判断した場合は、これまでに説明した問診、診察、血液検査、画像検査、肺機能検査、気管支鏡検査など、さまざまな方法で患者の病状を把握します。
急ぐ場合には数日から1週間程度で、慢性的な場合には1ヶ月程度かけて行います。大まかなイメージとしてはこのような感じです。
間質性肺炎の分類
間質性肺炎の原因には様々なものがあることを説明させていただきましたが、間質性肺炎には大きな分類として、
- 「原因が判明しているもの」
- 「原因が不明のもの」
の2つに大別されます。
そして、原因が不明のものを特発性間質性肺炎と分類します。特発性間質性肺炎には以下の9つが含まれます。
- 特発性肺線維症(IPF)
- 非特異性間質性肺炎(NSIP)
- 呼吸細気管支炎を伴う間質性肺炎(RB-ILD)
- 剥離性間質性肺炎(DIP)
- 特発性器質化肺炎(COP)
- 急性間質性肺炎(AIP)
- 特発性リンパ球性間質性肺炎(iLIP)
- 特発性PPFE(iPPFE)
- 分類不能型特発性間質性肺炎(UC-IP)
とてもややこしいので、簡単な図にするとこのような感じです。
この中でも特に重要な、特発性肺線維症(IPF)については以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
ここまでお読み頂きありがとうございました。少し間質性肺炎についてお分かりになりましたでしょうか。
まだ今回まとめ切れていない点は随時アップデートしていますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。