CTD-ILDに対するTBLC検体を用いたUIPの証明(2023年)

膠原病に伴う間質性肺疾患の患者さんを対象に、経気管支肺凍結生検の所見が治療方針決定に有用か検証した研究が日本から報告されました。
Yamakawa H, Takemura T, Sato S, Takatsuka M, Ohta H, Nishizawa T, et al. Can transbronchial lung cryobiopsy benefit adaptive treatment strategies in connective tissue disease-associated interstitial lung disease? BMC Pulm Med 2023;23:126.

経気管支肺凍結生検(TBLC)は、膠原病に伴う間質性肺疾患、特にUIP様の病変を扱う場合、適切な薬剤の選択と抗線維化治療の早期介入の必要性の判断に役立ち、治療決定の指針となりえるようです。

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

膠原病(CTD)関連の間質性肺疾患(ILD)患者の一部は、初期に改善したにもかかわらず、経過とともに肺線維化が進行し、予後不良となる可能性がある。経気管支肺凍結生検(TBLC)は、びまん性肺疾患に用いられる新しい生検法である

CTD-ILDを対象としたこの研究では、治療方針の決定におけるTBLCの有用性を評価した。

方法

CTD-ILDの連続31例のTBLCを受けた患者のカルテを、放射線病理学的相関と疾患経過に着目して解析した。
TBLCに基づく通常型間質性肺炎(UIP)スコアを用い、i)散在性の線維化、ii)線維芽細胞巣、iii)蜂巣肺という3つの所見を評価した。

結果

対象患者は、関節リウマチ3名、全身性強皮症2名、多発性筋炎/皮膚筋炎5名、抗合成酵素症候群8名、シェーグレン症候群6名、顕微鏡的多発血管炎5名であった。
肺機能検査の結果、%FVCは82.4%、%DLCOは67.7%であった。

TBLCで証明された病理学的UIPをもつ10名のうち、3名はUIPの枠組みに加え炎症細胞が顕著であり、ほとんどの患者の肺機能は抗炎症治療で改善した。TBLCに基づくUIPスコアが1以上の15名のうち6名(40%)は、経過観察中に病勢が進行し、そのうち4名は抗線維化治療を開始された。

結論

CTD-ILD患者におけるTBLCは、特にUIP様病変が存在する場合に、適切な薬物療法を決定するのに有用である。抗炎症治療と抗線維化治療のどちらを優先させるかの判断が難しい場合に、TBLCは有用である可能性がある。さらに、TBLCから得られる追加情報は、臨床において抗線維化治療の早期介入を検討する際に有益であると思われる。

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