ヨーロッパの全身性強皮症のコホート研究から、皮膚硬化の進行が肺機能低下や死亡率低下と関連している可能性が示唆されました。
目的
びまん皮膚硬化型全身性強皮症(dcSSc)において、進行性の皮膚硬化が臓器の進行および追跡中の死亡率と関連しているかどうかを明らかにすること。
方法
European Scleroderma Trials and Researchデータベースから、dcSSc、ベースラインのmodified Rodnan skin score(mRSS)≧7、ベースラインから12±3か月後の有効なmRSS、および1年以上のフォローアップ訪問を行った患者を評価した。
皮膚硬化の進行は、ベースラインから12±3ヵ月後までのmRSSが5以上かつ25%以上増加した場合と定義した。
転帰は、肺、心血管系、腎臓の進行、および全死亡とした。
皮膚の進行と転帰の関連は、Kaplan-Meier生存分析および多変量Cox回帰により評価した。
結果
対象患者1021人のうち、78人(7.6%)が皮膚硬化が進行した(skin progressors)。
生存率解析の結果、皮膚硬化進行群は非進行群に比べ、FVC低下率10%以上(53.6% vs 34.4%、p<0.001)および全死亡(15.4% vs 7.3%、p=0.003)の割合が高いことが示された。
- これらの有意な関連は、ベースラインのmRSSが低い患者(22/51以下)または罹病期間が短い患者(15カ月以下)のサブグループ解析でも認められた。
追跡期間中央値は3.4年。
多変量解析では、1年以内の皮膚硬化の進行は、10%以上のFVC低下(HR 1.79, 95% CI 1.20~2.65) および全死亡(HR 2.58, 95% CI 1.31~5.09 )と独立して関連していた。
<まとめ>
dsSScの約8%で皮膚硬化が進行し、その群は肺機能低下や生存率低下と関連している。皮膚硬化の指標であるmRSSがdcSScの肺合併症進行の代替マーカーである可能性がある。