日本のIPFの有病率

 

診療データベースを用いて、本邦のIPFの有病率が初めて報告されました。

Kondoh Y, et al. Prevalence of idiopathic pulmonary fibrosis in Japan based on a claims database analysis. Respir Res 2022;23:24.

 

一言解説

IPFの日本の有病率は、人口10万人あたり27人、推定患者数は約3万4千人。

 

 

 

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

特発性肺線維症(IPF)は、線維化が進行し、予後不良の慢性間質性肺炎である。欧米では相当数の疫学研究が行われているが、日本では、1県の臨床データ(2003~2007年)を用いてIPFの有病率(人口10万人あたり10.0人)を報告した研究があるのみで、IPFの全国的な有病率は不明なままである。

研究の目的:全国規模の診療データベースを用いて、日本におけるIPFの有病率を推定すること。

 

方法

メディカル・データ・ビジョンが提供する日本の診療データベース(MDVデータベース、2008年4月~2019年3月)より、急性期病院385施設の患者約2800万人分のデータを抽出した。

2017年4月~2018年3月のIPF患者(IPFと1度でも診断された者)をMDVデータベースで確認した。

MDVデータベースの患者数を第4回NDBオープンデータ(2017年4月~2018年3月)を用いて全国規模で推定し、人口統計データを分母として有病率を推計した。

また、同じIPFの定義を考慮した米国での有病率を算出し、日本での有病率と比較した。

 

結果

MDVデータベースにおけるIPF患者数は4278人であった。日本における全国の推定患者数は34,040人(平均年齢73歳、男性73%)、有病率は人口10万人あたり27と推定された。

米国との比較では、有病率は75-79歳までは男性は同程度で女性は比較的低く、80歳以上では男女とも顕著に低かった。

(図. 年齢別のIPF有病率。a(上図)が男性、b(下図)が女性。文献より引用掲載)

 

 

<まとめ>

診療データベースを用いて、本邦で初めてIPFの有病率が明らかとなった。

 

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(最終アップデート:2022年5月25日)

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