肺線維症の患者、介護者、医療専門家、研究者らが、どのような研究的疑問をもっているか、今後解決すべき最優先事項はなにかを調査した研究が、オーストラリアから報告されました。
対象は、肺線維症の患者、介護者、医療専門家、研究者で、ノミナル・グループ技法を用いて、ステージ1から3を経て研究課題を検討しています。
<ステージ1>
対象の約200人(肺線維症の患者が78%、介護者が16%、医療専門家もしくは研究者が6%)に対し、
What are the two most important problems for people with pulmonary fibrosis that you feel should be addressed by research?
というオープンクエスチョンを行い、研究課題を検討。560の質問が個別にレビューされ、52の初期テーマが設定された。そこから14の包括的なテーマの一覧が作成された。
<ステージ2>
ワークショップ形式で各グループが重要な質問を相談し、最終的に39の質問リストを作成した。
<ステージ3>
対象の約260人(肺線維症の患者が51%、介護者15%、医療専門家もしくは研究者が34%(呼吸器内科医34人と間質性肺炎の専門家12人を含む))に対し、オンラインアンケート調査を行い、39の質問から10の重要な研究課題を抽出した。
最終的に重要と判断された10の課題は以下の通りです。
- 肺線維症患者の肺の瘢痕を元に戻すことができる薬は何か?
- 肺線維症患者の肺機能を改善できる薬は何か?
- 肺線維症の原因は何か?
- どうすれば肺線維症を防ぐことができるか?
- 肺線維症患者の息切れを減らすための最も効果的な介入は何か?
- 肺線維症の症状を軽減し、健康を改善できる薬は何か?
- 肺線維症患者の咳を軽減するための最も効果的な介入は何か?
- 肺線維症が時間とともに悪化するのを防ぐことができる薬は何か?
- 現在の選択肢と同等に効果的であるが、副作用が少ない肺線維症用の抗線維化薬を開発できるか?
- 肺線維症を持つ人々にとって最良の運動プログラムは何か?
肺線維症の患者、介護者、医療専門家や研究者の考える最優先事項は、
- 肺の瘢痕を戻すための薬物治療(1位)
- 肺機能の改善(2位、6位、8位)
- 症状の緩和を目的とした介入(5位、7位)
- 肺線維症の予防(3位、4位)
- 肺線維症に対する最良の運動プログラム(10位)
でした。
また、患者/介護者と医療専門家/研究者の間で上位10の優先順位については良好なコンセンサスがありましたが、急性増悪の原因と生存率を改善するための早期診断は、医療専門家/研究者でのみ上位にランク付けされていました。
(最終アップデート:2022年5月6日)