全身性強皮症(SSc)の臓器病変のなかでも、間質性肺炎は頻度が高く、重要な合併症です。この全身性強皮症に伴う間質性肺炎では、非喫煙者であっても気腫性変化が目立つことを経験します。そこに着目した研究が2018年に日本から報告されました。
一言解説
強皮症の患者では喫煙者でなくても喫煙者のような気腫性病変を認めることがある。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
全身性強皮症に伴う間質性肺炎の21例を対象に、肺病理所見について検討していますが、病理学的な肺気腫は16例(76.2%)で認め、さらにそのうち10例(62.5%)が非喫煙者でした。
これは45歳女性の非喫煙者の胸部CT画像、肺病理所見です。
胸部CT画像では牽引性気管支拡張や網状影を認めます(左図)。肺病理所見では非特異性間質性肺炎(NSIP)パターンを認め、気腫性変化を伴っています(右図)。
この病理学的な肺気腫をもつ患者は、拡散能(DLCO)が低く、胸部CTで異常陰影の範囲が広く、肺動脈内膜の肥厚が目立っていました。
また全身性強皮症に伴う間質性肺炎では、多くが微小血管系の変化(肺動脈病変が90.5%、肺静脈病変が85.7%)を認めていたようです。
この非喫煙者でもみられる気腫性変化は、全身性強皮症に伴う間質性肺炎の特徴的な所見である可能性があります。
(最終アップデート:2022年5月24日)